北イタリアのアルプスにほど近いピエモンテ州トリヴェロの緑の丘に建つエルメネジルド・ゼニアの工場ラニフィーチョ・ゼニアは周囲の環境の素晴らしさでも知られています。そのエルメネジルド・ゼニアの倉庫に長年眠っていた、生産の過程で余ったオーストラリア羊毛や糸を無駄に廃棄せず、あらためて糸にし再生して織り上げたのがエルメネジルド・ゼニア社のサスティナブル素材「ループ」です。
再生した羊毛と言いましてももともとオーストラリアのいい原毛だけを買い付けていたのでその糸のグレードもやはり高く、十分手触りもエレガント。ハイツイスト系だから手触りもサラッとした夏に通気性のいい平織り。クラシックな2cm巾チョークストライプ3色を選びました。
エルメネジルド・ゼニア「ループ」
オーストリアンウール100% 240g/m 平織り
スペシャルプライス オーダースーツ価格95,000円(税込)



欠点があるのがじつはエレガントかも
このエルメネジルド・ゼニア「ループ」のストライプをよくみると、再生羊毛糸だからか、すこしずつ継ぎ目があるのがわかります。これがツイードの糸節「ネップ」のようで実に感じがいいのです。日本国内ですとデパートを中心にクレームの無い無難な商品が好まれてきました。そのため、スーツでも、実際着た姿がいいスーツよりも、展示の際の吊るした状態がキレイな「ハンガー面(ずら)」がいいものが求められたり、カラーにシワがでない接着製法のシャツが好まれてきました。そのため「味わい=テイスト」が犠牲になってきたことは否定できません。スーツに使われる羊毛も実は農製品で製品にばらつきがあるのが普通なんです。「無謬性」というか何も欠点のない無機質なものよりもこうやってひとクセあるほうが、そのクセや「欠点」についてのヒストリーを感じ、実はエレガントなのかもしれません。
