オーダーサロンタナカでスーツをオーダーいただくと内側におつけする裏地は原則キュプラ100%裏地の一択となります。
キュプラはドイツベンベルグ社が開発して、現在原糸は日本の旭化成がシェア100%です。綿花の種の表面の産毛、コットンリンターを原料として銅アンモニア法で作られています。レーヨン同様の吸湿性がありながら、湿ったときの強度も落ちないため現在高級衣料には欠かせない裏地となっています。
メンズのキュプラ裏地は現在シックなものが多く、最近はビビッドな色合いがありませんでした。以前フィレンツェの裏地店マリックはヴィヴィッドな色の裏地ばかり揃えていてピッティイマジネウォモの際に毎回買い付けていましたが、残念ながら閉店してしまいました。
そこで八方手を尽くし、ネイビーに映えるロイヤルブルー、グレーやもちろんブラウン系に映えるブラウン、そしてなぜか少なかったグリーンの美しい色合いの3色のキュプラ100%裏地を反で買い付けました。オーダーの際お申し付けいただきましたら追加料金無料でおつけいたします。



キュプラの着心地を発見した記憶
オーダーの仕事を始めて40年来、スーツを仕立てる際は考えもせずキュプラ100%の裏地ばかりでしたので本当のところキュプラの実力を測りかねていました。あるとき名古屋栄の著名セレクトショップでロイヤルブルーのジャケットを見つけました。試着したら軽くてかっこいのでたまには既製品もいいかなと買いました。それを着て国内を旅したんですが、着ていて中が蒸れるのです。表示を見たら中国製で裏地はポリエステル100%。見た目はかっこよかったですが衣服内環境はダメなジャケットだったのです。その時がキュプラ100%の重要性をあらためて理解した瞬間でした。