今月18日から3泊だけイタリアに滞在する出張に出る。主な目的はフィレンツェでおこなわれる紳士服の展示会ピッティウオモに行く事。そのほかいろいろな用事、仕事などを極めて短時間にこなさなければならないいわいる弾丸ツアーだ。

イタリアにはいろいろな魅力があるが最大の魅力は実はファッションでも食べ物でも買い物でも音楽でもなくそれは「美術」だとわたしが考える。ローマにはじまりルネサンス、マニエリスム、バロックはすべてイタリアが発祥ですばらしい絵画、彫刻が山ほどある。フランス、英国、米国などの美術館でいちばん重要なコレクションといえば間違いなくイタリア絵画だ。仕事の合間、すこし時間があるときにはぼくは迷わず美術館に行く。イタリアに何度も通ううちに絵画にたいする知識も深まって来た。

今、手元にジョルジョ・ヴァザーリ著「芸術家列伝」という書物がある。16世紀に生きたヴァザーリは画家で建築家でもあった。ウフィッツイ美術館からポンテベッキオを通りピッティ宮殿に行く回廊は設計した彼の名前がついてヴァザーリの回廊と呼ばれている。しかし彼の一番の功績は美術史を書いた事だろう。原書ではなくもちろん白水社からでた和訳だがこの本はオールドマスター達の人生が生き生き描かれていて楽しい。また翻訳本の表記もおもしろくサンタマリアデルフィオーレ教会ではなく「サンタマリアデルフィオーレ寺」と書かれているもなにか魅力的である。今回の出張の前、また旅の途中にこの本を読んで芸術家達の人柄に親しみ、ピッティウオモの合間に時間を見つけウフィッツイ美術館かサンマルコ修道院でも行けるものならそれこそ寸暇を惜しんで行きたい。
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