8年前だったかエルメネジルドゼニア社に日本のテーラーの代表の一人として招待された際おみやげとしていただいたマルチカラーのストライプネクタイを愛用していた。しかしよく見ると大剣の先がすり切れて来た。ネクタイはこうなると寿命かもしれない。このまま付けていてもみすぼらしい気分がしてマルチカラーのストライプタイがほしかった。
8年前、エルメネジルドゼニア社に訪問して、頂いたストライプネクタイでCEOパオロゼニアとパチリ。
そこで今日から一本新たにマルチカラーのストライプネクタイを使い始めた。先日イタリア・ジェノヴァの目抜き通りにあるフィノッロで買ったもの。店主ルカさんはこのストライプはフィノッロで一番古くからある伝統的なストライプだとおっしゃっていた。買った時いただいたフィノッロの歴史を記した小冊子をみると古くはウインザー公とシンプソン夫人もお客様だったという。また今ではイタリア随一のダンディとしてしられるジャンニ・アニエッリも顧客だそうだ。スーツを文化にまで高めたウインザー公とわたしがリンクした気がしてちょっと嬉しかった。
今日から締めたフィノッロのタイ
フィノッロのネクタイは裏に小剣を収めるループが付いていない。イタリア人はすこし大剣をずらし小剣を見せるようにしている。そのスタイルを推奨しているディテールかもしれない。
ネクタイをフォアインハンド=プレーンノットが最もクラシックと言われる。私自身は持っているネクタイの素材はファインなシルクが多いのでヴォリュームが出るようフォアインハンドのヴァリエーションと言われる二重巻きのダブルプレーンノットにしている。日本がバブルで踊っていたころ、アルマーニのボトルシェイプの薄くペラペラのネクタイが流行、わたしも結び目は小さく小さく結んでいた。でもクラシックスタイルに目覚め、シャツのカラー、ジャケットのラペル巾、ネクタイの結び目、このバランス感の重要性に気づいた頃からはずっと結び目がふっくらするダブルプレーンにしている。フォアインハンドは慣れないと難しいが慣れると結び目は縦長の樽型になって美しい。すこしだけ非対称になって傾くのがこの締め方の特徴。もっと以前、二十代初めのスーツを着始めたころはより簡単なウインザーノットで締めていた。これならだれが締めても同じ対称形で締められる。ただ結び目の三角形がカマキリの顔のように横に長くなり美しくない。ウインザー公自身この締め方をした覚えはないとおっしゃっているが安倍総理は非常に残念ではあるがこの締め方ウインザーノットだ。日本政府でスタイリストのお仕事をやっているかたがいるのなら、なんとかヨーロッパの首脳の方のようにフォアインハンドで締めるようお勧めしていただきたいものである。