もう35年前になるだろうか大学生の頃、一年半新宿副都心にある住友三角ビルで開いていた文化人類学者の西江雅之先生の講座に毎週土曜日通っていた。西江雅之先生はアフリカを主フィールドとされている文化人類学者であり言語学者である。23才の時、日本最初のスワヒリ語文法書をあらわしたとか数十カ国語を話すということやかずかずの伝説とエピソードに彩られている西江先生だが、先生から文化について、そして言葉について直接薫陶を受けたという事はわたしの人生の大きな財産となっている。

いま先生の教えが書かれているサイトを見つけた。ここはそのときの授業の内容にもとても近く、示唆に富んでいる事を書かれているのでこのブログの読者にも読んでもらいたいが、先生は授業のなかで人間の文化の一環である「食」についてよく語られていた。先生はアフリカの奥地など世界の行きにくい場所に人類学のフィールドワークにでかけられたのだがその際、現地でひとびとが普通に食べられている物を食べているとおっしゃっていた。その際、肉を焼いたものなど素材の原型を留めているものは食べるが、原型を想像できないものは避ける。たとえばコウモリを焼いたものなどは気味が悪いかもしれないが原型をとどめているので、タンパク質を焼成したものだと考え食べるがかまぼこのような何で出来たか分らないものは口にしないとおっしゃっていた。
あるとき一時間半の授業のあと、先生と生徒で新宿の中華料理店に食事に行ったことがあった。そこで典型的な中華料理、酢豚、鳥の唐揚げ、餃子などを適当にたのんでみんなでシェアして食べたのだが先生は餃子には一切、手をおつけにならなかった。原型をとどめていないものにやはり恐れを抱いていたのだ。
昨今、中国の食品工場で期限切れ肉のニュースが流れている。 問題になっているチキンナゲットなどはチキンであるのに原型をとどめていない。ああいうものはやはり「根源的」に危ないという事は35年前に先生からおそわった。かって肉屋を経営していた友人のセンダも肉まんだけはどんな肉を使っているか分らないから喰わないと言っていた。それと同じ事だろう。

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家で焼いたうなぎ蒲焼き これも原型がわかって合格
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ビストログールトンさんで豚のロースト 合格
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じぶんで焼いたスパニッシュオムレツ。なんとか合格ではないか。
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やまびこ 猪のコンフィ これも合格