休みとなったら雨がふっても雪が降ってもゴルフ場に通っていたが、芝も茶色く枯れた冬の時期はゴルフをやっても楽しくはない。だから先の水曜はちょっとドライブでどこに行くかは決めていなかったが名神を西に向かって走った。地の野菜でも買って温泉でも入れたら良いなと思っていた。八日市インターを降りて、以前訪れた事のある町、近江八幡に向かう。しばらく走ると右側に尖った岩山が見えて来てなぜかその頂上に建物が有る。不思議な景色にそこが何か確かめてみたくなった。メインストリートをそれて脇道に入るとその山に向かう参道がありそこは神社だった。クルマで上る道があり登れるところまで登ると眺めのいい場所に駐車場があり神社への登山道があった。そこは太郎坊・阿賀神社、通称太郎坊宮と言われる神社で急な石段を上って行くと数々の社があり、登りきったところには山の頂上近くで夫婦岩という二つの巨石がありその間を細い道が通っていて本殿に向かう。以前読んだ植島啓司さんの本に聖地は常に巨石が存在すると書いてあったのを思い出し、まちがいなくここは聖地だということが分かった。欽明天皇以来の古い由来があり太郎坊という天狗が祭られていて修験道にも縁が深い。本殿からは近江の美しい田園地帯が望める素敵な場所だった。太郎坊宮からすぐのところに万葉の里ぬかずか農産物直売所があったので早速クルマを停めはいる。キャベツ、ブロッコリーのほかに地元の特産である日野菜(ひのな)を見つけた。この漬け物は48年前に亡くなった祖母が好きでよく当時の食卓にのぼっていた我が家の懐かしい味。家で漬けてみようと買ってみた。
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太郎坊宮、夫婦岩
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太郎坊宮 本殿からの眺め
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万葉の里ぬかずか

それから近江八幡に入る。平日の午前はしまっている場所も多いが町並みとお堀が美しいので散歩する。何年か前に折り畳み自転車をバッグに入れて青春18切符をつかってここを訪れたことがある。関西で有名な建築家ヴォーリスが創設したメンソレータムで知られる近江兄弟社でクリームなどを買った。近江八幡を後にして多賀大社を目指す。国道の高宮交差点を右に向かうと多賀大社だがその高宮という地名に多賀大社の名が潜んでいることに気づく。ここにはかって来たことがあるかどうかも忘れてしまった。でも知多半島の八十八カ所を自転車で廻った際、常滑に多賀神社があり知多半島に住む人はその本社である多賀大社への尊祟が深いということを知ったので行ったみたい神社だった。良く晴れた空に映える美しい社殿で鳥居の前には丸い石造りの太鼓橋があり豊臣秀吉が寄進したので太閤橋とよばれていたそうだ。
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近江八幡の町並み
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近江八幡 ボーリスの銅像
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多賀大社
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多賀大社前 太閤橋
クルマの運転にも疲れて来たのでウェブで見つけた池田温泉に向けて走る。関ヶ原インターで降りて垂井町を経てトンネルを抜けると池田温泉。名泉との噂にたがわずとろりとした肌あたりの温泉は素晴らしく地元の人のみならず遠方からのお客も多かった。42度の温泉と28度の冷泉を交互にじっくり一時間露天風呂にはいり関節の疲れをいやした。

帰り道ここが美濃赤坂に近いことを知る。中学一年生の頃、地学の野村先生から美濃赤坂にある金生山化石の宝庫であることを教わり友人のタカギくんと国鉄に乗り化石発見の旅に出かけて行った。ひなびたローカル線の駅を降り山道を歩き、石の置き場らしきところで持参したタガネとトンカチで石を砕こうと打ちつけるがだいたい岩などいくらタガネで打っても、粉が散る程度で固い石などそうそう割れるものではない。必死にそのあたりに転がっている石を物色してウミユリあたりを探したのだが素人に見つかる訳もなく、いくらさがしてもフズリナなどプランクトンに毛の生えたような小物しか手に入らないので肩を落として日が傾く田舎の山道を歩いていたら鉱山の人に声をかけていただきその方が見つけたベレロフォンの化石を幸運にもいただいた。以来それは私の大切な宝物だったのだがいまとなってはどこにいったのだか。我が青春のスタンドバイミー赤坂金生山。
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まさに名泉 池田温泉本館