旅は人をリフレッシュさせる。いい宿に泊まればなおさら。たとえば日本なら加賀温泉のあらや滔々庵が好き、そしてイタリアならフィレンツェの街の真ん中のアルベルゴ(イタリア語でホテル)ヘルベチア&ブリストル。10年前に妻とまだ小学生低学年だった娘とここに泊まりここのエレガントさ、ホスピタリティの高さに魅了された。ピッティウォモの時期はホテル代は高く、閑散期の三倍になる場合すらある。ピッティ開催期間このホテルなら一泊6万円以上するはずだが今回はウェブで二ヶ月前になぜか一泊35000円で見つかりすかさず予約。一人旅のときはだいたいエコノミーなホテルに泊まっていたがさすがに50も半ばをすぎればそこそこの宿で身体と心を休めたい。このホテルに泊まれる事がこの夏の短い旅の大きな楽しみとなっていた。
フィレンツェの街のエレガントなブティックがならぶ通りトルナブオーニ通の真ん中近くすてきな展覧会が開かれるストロッツイ宮の前、決して大きくないがルネッサンス期に建てられたパラッツオをヘルベチア&ブリストルはホテルとして使用している。フロントでチェックインするとき偉大なホテルでもスタッフがいかめしい態度では客は緊張してしまうがここではいつもシニョールタナカあなたをお待ちしていましたよとというやさしい気持ちと微笑みで応対してくれる。ロビーはまるで図書館の如き落ち着いた空間で街の真ん中にありながら喧噪とは隔離されている。部屋に入ると紅色のクラシックな織物が張られた壁、窓枠には鍛冶屋で一つずつ手作りの金物が取り付けられている。ひとつづつの設えをながめるのもこのホテルの楽しみ。すべての人がそう思うかどうかは分らないが、このホテルに泊まる一日がぼくの大事なA DAY IN THE LIFEであることはまちがいない。
正面は西洋の街にはよくあるパラッツオ
まるで図書館のようなロビーの落ち着いた空間
泊まった歴史上の人物のポートレート
赤い織物が壁紙として張られた可愛い部屋
部屋の壁にはこんな浮き彫りの彫刻
窓にあしらわれた金具はハンドメイド
朝、日本人には日経が部屋の扉に。そんな心配りがうれしい。
朝食はイングリッシュブレックファスト
ロビーの壁には由緒ある西洋絵画