7月のはじめ頃だったか、英国リードアンドテイラー社のエスコリアルという珍しい服地をお客様から頂き、仕立てたスーツが昨日仕上がった。

エスコリアルウールと北アフリカはモロッコ南部アトラス山脈が原産地のミニチュアシープの羊毛。スペイン、マドリッドから45km離れた街に王立サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアル修道院と広大な宮殿、修道院、博物館がある。エスコリアルウールは16世紀以来そこで飼育され王侯貴族のみが着用を許された門外不出の羊毛だった。その後ナポレオン戦争にともなうスペイン王国の衰退とともに絶滅したと思われていたが、当時スペイン王国は親族や他国の王族に向けての贈り物としてこのミニチュアシープを贈っていてその末裔の純血種がタスマニアとニュージーランドで生き残っていた。(当ブログより)

テーラーが服地をもらうというのも変な話だが、お客様のお亡くなりになったお父様が服地のコレクションが趣味でいろいろお集めされていたたそうでその中の一着だった。長身のお客様なので2.8mの長さしかない服地ではご所望のスリーピースはもちろんスーツでも無理だった。お客様はぼくには無理だから田中さんに贈呈しますといっていただいた。レアな服地ゆえ出来上がりを楽しみにしていた一着だった。やはり夏のエレガンスを感じるスーツに仕立て上がってうれしいかぎり。
ことしの秋冬もスーツとジャケットを誂えようと考えている。ディテールなどもあれこれいじらずにシンプルなものがいいと思える年代になったが素材だけは真剣に選んでいる、秋になにを着ようか考えるのも楽しいものだ。このワクワクする感じをお客様に伝えたい。いつもそう思っています。
escorial
エスコリアルウールで仕立てた夏の漆黒のシャドーストライプ。なんともいえずエレガント。ネクタイはジェノバの名店フィノッロ製。