名古屋から東海北陸自動車道で飛騨清見インターから高山、そしてそこから丹生川地区を抜け平湯に入る道は乗鞍、穂高、上高地などへ山登りに行く道の定番となっていました。途中乗鞍への登り口と平湯トンネルの間にある、五色ヶ原入山口という建物があり昭和に建てられたらしき大きな建物と入山口というミスマッチがなんか気になっていました。五色ヶ原とはどんなとこだろうとウェブサイトで調べると立山の五色ヶ原と、乗鞍近くのこの五色ヶ原のサイトを見つけました。
乗鞍山麓五色ヶ原の森は中部山岳国立公園乗鞍岳の北西山麓約3千haに広がる森林地帯で、自然保護と利用の両立を図るため、歩道や山小屋等の施設整備時における自然への配慮はもとより、入山規制や入山時におけるガイドの同伴、一日当たりの最大利用人数の制限、利用料金制などを高山市の条例で義務付けた、国内でも先駆けといえる本格的なネイチャートレイルエリアです。指定管理者である「五色ヶ原の森案内人の会」では、乗鞍山麓五色ヶ原の森創設以来、現場でお客様や自然そのものと直接触れ合ってきた「森の案内人(認定ガイド)」としての経験を活かし、お客様はもちろんのこと、五色ヶ原の森の豊かな自然にとっても特別な場所であり続けられるよう努めてまいります。皆さまのお越しを心よりお待ちいたしております。
五色ヶ原公式ウェブサイト
それらを見て秋が深まったこの時期にきっと紅葉が美しいはずのこの飛騨乗鞍山麓の「五色ヶ原」に行ってみたくなりました。ことしは今月10月末で終わりとのことでちょっと急いで今週の始め公式ウェブサイトで知った電話番号で10月21日の午前8時半から午後2時半までの行程の「シラビソショートコース」を申し込みました。
「シラビソショートコース」の集合時間は現地に朝8時半集合のため当日朝は家をまだ夜も明けぬ5時半にでて東海北陸自動車道を走り、入山口の建物についたのが8時過ぎ。当日はひるがの高原サービスエリアで摂氏1度の寒さ。現地も同じくらいでダウンのヴェストにGORE-TEXのアウター、手袋もしてまだ寒いくらい。受付で検温しましたがふたりとも35度台、寒すぎて体が冷えて検温の意味ないかも。
秋の逍遥、せせらぎを縫いながら。
はじめに書いた大きな建物は閉鎖されたスキー場の使われなくなったビルでそれを入山口として利用。入山口の建物で受付を済ませると当日の一行は私達ふくめ6人、ガイドの辻田さんとワゴン車で向かうこと40分、「シラビソショートコース」出発地点「岩魚見小屋」に着きました。そこから乗鞍の頂上が見え、もう雪景色。スタートするとガイドの辻田さんが木々の説明をしてくれます。草木の知識が乏しいので聞くことすべて新鮮。暫く行くと木の小さな橋を渡りせせらぎに沿って下っていきます。途中せせらぎを小さな木の橋で縫うようずっと歩いていく体験はまるで広いイングリッシュガーデンのよう。もちろん庭園とは違い広大な森林の中なので美しい小川はどこまでも続きます。こもれびで水面が輝き、木々の香りがまわりを満たします。そんな至福の時が一時間近く続くとお腹も空いてきて休憩。水面の横でいただいた予約しておいたお弁当の美味しかったこと。
それから池をめぐり飛騨の紅葉を楽しみます。垣間見える乗鞍は冠雪していてそれも美しい。天気は晴天でいつもはここから見えにくい岐阜の最高峰笠ヶ岳もくっきり見えます。そのときかすかに水の音が聞こえました。
生涯最高の滝経験。
音が聞こえてからしばらく歩くとどんどん音は大きくなります。でも滝の姿はなかなか見えません、川の姿もありません。傾斜をどんどん下がっていくと、湧き水が湧いている場所にでると滝の轟音が聞こえます。見ると右に大きな滝、そして左にも滝があります。そのあいだの小さな尾根の急な下り坂にはしごが掛けてあり、そこを後ろ向きにゆっくり降りていきます。それはまさに滝と滝との間で左右から絶景と轟音がステレオで聞こえてきます。右手が横手滝、左が布引の滝でした。
立山の称名滝のような長い滝は見たことありますが、断層から落ちる乗鞍からのせせらぎから集まった水量が極めて豊かな横手滝と、溶岩台地の間を染み込んだ水が落ちる布引の滝の左右の雄大な景色はいままで私の人生の中の滝でベストのダイナミックさで萌えました。
志の高い観光スポット。
今回のグループに参加した人は私達以外は岐阜県民。ここは岐阜県の人にとっては知られているそうですが、他府県の人にはまだ宣伝が行き渡っていないのか知られていません。森を再生する研究で知られる横浜国立大名誉教授宮脇昭氏の指導をうけ生態系維持と自然保護を考えた入山人数制限、有料ガイド制をとっているので登山者にとってほんのちょっとハードルが高いのかもしれません。。有料であることでウィキペディアには批判的な文章が掲載されています。しかしマイカー規制をしても毎日数千人の観光客、登山者が訪れる上高地はどこかいかにも観光地という感じです。その点ここは間違いなく将来永きにわたって自然が維持される日本有数の「志の高い」観光スポットでありすばらしいトレッキングコースであることは間違いありません。ガイドさんに払うお金で、安全にガイドしてもらい、道を整備し地域を活性化することにわたしは大賛成です。また来る春の新緑の時期にでもこの五色ヶ原の長いコースに挑戦してみたいものです。
飛騨の晩秋を中尾温泉で
この日は新穂高近くの中尾温泉に宿をとりました。この地区の温泉がすばらしいのは昨年泊まって知り、ペンション「ヨーデル」さんに。夕食は地元の山で採れたキノコ鍋、そして朴葉みそ、飛騨牛、アマゴのお造り。山の味を堪能しました。ここの露天風呂はもちろん源泉かけ流しで温度管理も最高、焼岳、錫杖岳も見えてほんとうに良かった。帰路、ちかくのアルプス大橋から見える美しい飛騨の晩秋の景色を楽しみました。
美濃、飛騨、信州、木曽をめぐるドライブ
帰りは安房トンネルを抜け梓川沿いに走り、梓湖で木曽方面に右折。この道は知ってはいましたが、きっと険しい山道だろうといままで避けていました。でも今回走ってみたら、とてもなだらかなドライブコースで快適でした。乗鞍岳という表示がどこまでも出てきて、乗鞍は丹生川から行くだけでなく平湯、上高地そして高根村にかけての大きい山体の地区だと再認識しました。そして以前何度も訪れた日和田高原のある高根村にも近いということに驚き。ここは明治から大正にかけて、貧しい飛騨から危険を冒して野麦峠を越え、生糸生産で豊かな伊那地方に行くという「あゝ野麦峠」の舞台である道。この周辺で穫れる野菜も買いました。もちろん木曽におりたら「源氏」さんでお蕎麦をいただいたことは言うまでもありません。