今週はフィレンツェでピッティイマジネウォモが開催されています。COVID19も収束し、世界中から多くの服飾関係者、ファッション業界の人々、プレスの人々が再びイタリア、フィレンツェのバッソ要塞に集まっています。当店もロロピアーナジャパンから世界中のテーラーが集結して会議をするのでタナカさんも来てくださいと招待を受けました。残念ながら来る1月からピッティ通いを再会する予定としていましたので、今回はご招待を受けることはありませんでした。
当店がピッティイマジネウォモに通うようになったのは20年以上前です。それは洋服屋=西洋の服屋が西洋に行かずして洋服を語れないと四〇歳になるころ認識したから。もし呉服屋さんが京都の文化を知らなければ和服を語ることは決してできないでしょう。同じようにイタリア、英国に行き、本物のスーツを本物の西洋人が着ている姿を見なければ洋服屋とは言えない。時はクラシコ・イタリアが世界に知られるようになったころ。クラシコ・イタリアが世界に知られるようになったのとほぼ同時でした。
今年はどんな流行とお客様に聞かれることがあります。わたしもピッティイマジネウォモに通い出した頃は今年のメンズスーツの流行はと目を皿にしてフィレンツェのバッソ要塞に行き交うスーツ姿の男達をウォッチングしていました。しかしピッティイマジネウォモ通いが10年を過ぎたころから、クラシック・スーツには流行が無いのではという気持ちになってきました。たとえば紳士服地の伝統柄、ペンシル・ストライプ、チョークストライプ、グレンチェック、ウインドペンなどはずっと変わりません。変わらないのが実はクラシックなのです。人によってゆったり好み、スリム好みはあってもそれはテーラーでいかようにも調整できます。以前は今年のスーツはとピッティイマジネウォモでのトレンドを解説していた有名セレクトショップもクラシック・スーツにおけるトレンド性があまりないことで雑誌等でトレンドを打ち出すのをやめたということも聞きます。
今回のピッティに行けなかったのは残念ですが、世界標準のスーツを目指す当店としましてはまた世界の街で生きるクラシックスーツをウォッチングするのを続けていきます。