日本最高モデリスタ、柴山登光先生エッセイ集「モデルストが綴る深イイ話」アパレル工業新聞社から上梓されたのを知り、すぐ買いたいと思ったのですが、買うより早く先生から送っていただきました。
さっそく送っていただいたその著書に三ヶ所付箋が付けられていて、ページをめくってみるとその三ヶ所に私のことが書かれていて、びっくりしながら深く感激いたしました。私の洋服屋人生に先生から深く影響を受けています。でも先生にもほんのすこしプラスになるものを感じていただいたんだなと思ったり。
この本をいますこしづつ読んでいます。縫製の技術を研鑽される道中、先生が訪ねた世界の街や日本の街のことが多く書かれています。これはただ紀行文のようですが実はとっても重要なこと。モノツクリというのはとても厳しいもので、いいモノを作るためには長い時間、そのモノに向き合わなければいけません。だからそんな孤独な時間をついつい「オタク」となって、そのモノとの関係に埋もれてしまいがちです。でも先生は日本の工場、そしてイタリアのミラノにひとりぼっちで赴き、洋服学校セコリで学び、モノツクリの高みを目指しながらも、つねに先生の興味は洋服の縫い方と同時に、外の世界、つまり世界や文化、ファッションに向けられています。わたしは当店のスーツは世界に通用するスーツと言っているのはそういう外の世界、文化への学びがぎっしり込められた服だから。あの超有名セレクトショップ、有名縫製工場がこぞって先生の力を借りたがるのもむべなるかなです。
わたしは自分で縫わず縫製工場を通して先生の力を借りることしかできませんが、オーダーサロンタナカは柴山先生設計監修のスーツをオーダーできる幸福な洋服屋です。