ピッティの着こなしはクラシックスタイルがベース
われわれはフィレンツェ、バッソ要塞で行われたピッティイマジネウォモの1月13日と14の2日間でわたしと妻の延べで言うと18時間以上で600枚近いスナップを撮影しました。ピッティ詣ではわたしが42歳から続けていますのでほぼ40回近くは来たでしょうか。ここに来るバイヤーや出展者、プレスの人々はほとんどクラシックスタイルを基本とした服装で来場します。そういうスタイルで来るのがいわば不文律なのです。ですからここでウォッチングするのは現在のクラシックスタイルを知るのには意義あることだからです。例えばデザイナーの風変わりな服を着る人は少ないと思います。
クラシックスタイルとは。一例としてスーツの袖の長さ
クラシックスタイルとはヨーロッパで100年以上歴史を重ねた服装スタイルです。だれかデザイナーが決めたものではありません。誰かの世界観でもありません。一例を申します。あるとき店に肘から5センチくらい下の長さの極端に短いスーツを着た人が来店されました。当店でクラシックスタイルのスーツをオーダーしたあと、どうしてこんな袖が短いのか聞いたところ、以前名古屋の他の店でオーダーしたところ若い女性にこういうスーツってアリなんじゃないと言われ決めたそう。その方には言いませんでしたがそれは間違いなくクラシックスタイルではありませんでした。スーツ・ジャケットのクラシックスタイルには理想の袖丈はありますが、それから3cmくらいは誤差の範囲として許されます。そして手の甲ほどの長さや10cm短いなど許されない範囲があるのです。下の画像を御覧ください。
一例として袖の長さを申し上げましたが、そういうスーツの着こなしのいくつかのルールの総体がクラシックスタイルといいます。そんなに難しいものではありません。100年、200年の歴史を経てヨーロッパで培われている「ゆるい決まり」です。これはゆったりと時間をかけて変わってきたもので「流行」とは違います。なぜなら私は20年以上のピッティイマジネウォモ通いで目で見てきました。「クラシックスタイル」はほとんど流行はありませんしそう変わってきていません。自信を持って言うことができます。
ピッティイマジネウォモでのスーツ群像
上に書いた袖の基準より長い人もいますが、相対的にクラシックスタイルとなっています。クラシックスタイルにきちっと準拠する人、クラシックスタイルをもとにしながら逸脱を楽しむ人。歴史的クラシックスタイルを敢えて楽しむ人それぞれのスタイルをお楽しみください。