10月になった初日の昼過ぎ、お客様を接客している時、二人のジェントルマンが来店。ひとりは以前ロロピアーナジャパンのスタッフだった牧野さん。今ではLVMH傘下のエレガントな素材メーカーとして日本でも有名なロロピアーナ社だが25年前はほとんど誰も知る人などいなかった。そんなロロピアーナ社から一通の手紙が舞い込んだ。名古屋キャッスルで展示会をするという。紳士服地のプロだった父親はとてもいい会社だから取引しようとホテルに行き。そこにいたスタッフが牧野さんだった。当時紳士服地の問屋さんなどお洒落な人はまずいなかったが、スパンカシミアで仕立てたジャケットを粋に着こなす彼のおしゃれさににまず驚いた。まだクラシコイタリア前夜である。今ではセレクトショップスタッフの着こなしなど雑誌で紹介されているがそれを遥かに凌駕していた。以来次第にロロピアーナ社とも取引が拡大し、イタリアにも招待された。何年か後牧野さんは退社したのだったが、それからグアベロ社のエージェントを経て、現在ピアチェンツア社素材のエージェントをしている。彼が連れてきたイタリア人はなんとピアチェンツア社の重役であり1773年から続くピアチェンツア家の御子息、エットレ・ピアチェンツア氏