先週行った飛騨「五色ヶ原」が良かったのでこの森を維持するのに助言した植物生態学者、宮脇昭先生の本「森の力」を買ってみました。まあ参考に読んでみようと思ったくらいの軽い気持ちでしたが、読み始めると、久しぶりに面白い本でちょっとうれし。
苦労してドイツで現場を駆け回り植物社会学を学び、帰国後は日本の森林は「木材生産工場」であると考え「鎮守の森」をモデルに荒廃した日本の森を再生するべく日本全国を自身考案したポッド苗を植えつづけるまさに行動する科学者の話でした。朝ベッドで読んでいて感動して森を見たくなり、起きあがり森に向かってクルマで走りました。
目指すは遠いとは聞いていた佐久間ダム、中部の代表的ダムですがまだ行ったことありませんでした。新東名を東に走り、浜松いなさジャンクションから現在無料供与中の三遠南信道路を2ヶ所通って奥三河、東栄町を通り佐久間に向かいます。このあたりは林業が盛んで山は綺麗に植林されています。そんな山に思いを馳せながら走ること名古屋から2時間あまり、天竜川に架かる高いコンクリート橋を渡ると畑をUターンしろとカーナビ。
それから坂道を登ると古式ゆかしい手掘りのトンネルがありそのトンネルを抜けると佐久間ダムの湖岸にでました。屹立したコンクリートのダムの躯体には楷書で佐久間ダムと記してあります。また石川島重工が建設した丸い取水口の建物2つ、その昭和感にこころがぐっと掴まれました。完成時155.5mの日本一高いダム、当時の最新鋭技術を使い3年で建設した金字塔とも言われたそうです。ただダムによりできた佐久間湖の水面下には多くの村が水没しているはず。また昭和29年からの突貫工事では98人亡くなったそうでまさに昭和の光と影。1956年に3年という驚異的なスピードで完成した佐久間ダムはそれこそ中部の誇りで、浜松に住む、妻の亡き父は、親戚が訪ねてくると郷土の自慢の佐久間ダムにいつもドライブで連れて行ったそう。
そんな昭和の熱気が伝わってくる山深き湖のほとりで独りしばし佇んだ休日でした。