火曜日の朝、母がNHK日曜美術館で見たらしくフランシスベーコン展に行きたいと言ったのでクルマででかけた。会場の豊田市美術館は谷口吉生設計のすばらしい美術館で10年くらい前、しもちゃんと貞宝カントリーへのゴルフ帰り、ダビンチの絵を見に行ったことがある。
車の温度計を見たら37度でとても暑い日だったが美術館の中はまるでスプマンテのようにキンと冷えていて快適。オーディオガイドも借り、一点一点見て行った。フランシスベーコンは1910年にアイルランドに生まれ82才まで生きた現代の画家である。今回の展覧会はベーコンの肉体表現をテーマにしていてシンプルな構図の中、肉体がねじれ、まげられ、ディフォルメされて写実とは離れているのになぜかリアルを感じてしまう。実際は見えていない心の像をしっかりとキャンバスにとどめるちからがすごい。またインテリアデザイナーをしたことがあるそうで、絵のなかにミニマリスム的などこかスッキリしたおしゃれさも感じる。お目当ての絵は中野京子「怖い絵」で読んだベラスケス「教皇イノケンティウス10世の肖像」をディフォルメして書いた絵。巨匠ベラスケスの書いた「教皇イノケンティウス10世の肖像」はローマの中心にあるドーリアパンフィーリ美術館で見たことがある。(2009/1/16の日記に記述)肖像画でここまで描くかという思うようなにらむような、まだどこかおびえたような法王の心の底までえぐる、ある意味その写実の凄さにまさに恐怖心を抱かせるような絵である。 ベーコンがディフォルメした絵は法王の絵の凄みのある部分だけ純粋に抽出したような絵でとても興味を持っていた。ベーコンは「法王イノケンティウスの肖像」をテーマに何枚も書いていて今回の展覧会に来たのはわたしが「怖い絵」で見た絵とはちがったが大胆かつ対象をきちっととらえているベーコンの筆致に心をうたれた。展覧会を見終わったあとミュージアムショップでにベーコンの画集を買ったがやはり画集に掲載されている印刷されている絵は実際に見た絵とは泳いでいる魚と皿に乗った魚くらい全く違う。とはいえベーコンは法王イノケンティウス10世の肖像のローマにある実際の絵は見る事はなかったそうで画集の中の写真を見て書いたそうだ。 でも教皇の絵に書かれている人間の心の中にある闇をベーコンのディフォルメされた絵は確実にとらえていてベーコンの感受性の高さはすばらしいと感じた。
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豊田市美術館 フランシスベーコン展
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豊田市美術館
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すっきりした空間 豊田市美術館
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豊田市美術館 
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フランシスコベーコン画集に掲載のディフォルメされた教皇の絵