日本の温泉が好き。ヨーロッパにも古くからテルメというものがあるそうだが、都市からは遠いのでヨーロッパで車を自分で運転したことはなくいまだ行ったことは無い。だから日欧の比較は出来ないのだが、水着で入るということを聞くと裸でどっぷり入る日本のほうが良いのではないかと思ってしまうのは知らない人の言うことかもしれない。テルマエロマエというならテルマエヤポネとでもいうのかそれはこんな感じだろう。 遠路はるばる宿につくとこぎれいな和室に通され、地元のお菓子とお茶をいただく。旅の疲れを癒そうとすぐ着ているものから浴衣に着替え、大浴場をめざす。屋内の湯に浸かったあとは露天風呂、お天気の時も雨音を聞きながらでも気持ちがいいのが露天風呂の不思議。外の空気を吸いながらたちのぼる湯気と一緒になんだか疲れがふーっと空に昇って行くのが分かる。部屋に入ってそとの木々を眺めながらぼーとする。持って来た本を読みながらうたた寝しながら時間をすごす。宿の近くを浴衣姿と下駄でぶらぶらするのも悪くない。 散歩から帰って来てちょっと湯冷めしたらまたお風呂にどぼん。時に追われることも無くそんなことをしていると食事。上げ膳据え膳で地元の味を地元の酒で楽しむ。海なら海で良いし山なら山もよろし。 気がついたら床が敷かれている。ふかふかの布団に身体を鎮めるともう静けさにまどろむ。朝もお風呂から始まる。昨日のお酒も温泉につかると抜けて、家で喰うよりずっと豪華な朝食も旨い。イングリッシュブレックファストは極上の朝食と言われるが日本の旅館の朝食は忘れない。

日頃、好きな洋服をあつかって私はほんとうに幸せ者だとおもっている。とはいえ日々のストレスはゼロという訳ではない。温泉宿ですごすのは本当にすーっとそんなストレスが消え去る時間。日本に生まれてよかったと思える時間。

先週水曜日、母親とふたりで中津川近郊の温泉にでかけた。 中津川はほとんど19号沿いしか通ったことが無い。街を抜け、龍の彫刻の欄干のある巨大な城山大橋をわたると美しい山の望める場所に出る。新緑やツツジの花が美しい坂道をしばらく走ると看板が見えて小径に入る。こぎれいな建物が見えたらそこが宿の栗本温泉「藤」。温泉町ではなく山に囲まれた川のほとりにたつ一軒宿。清潔な和室に通されたら前の山と川が一望できる。周りには家もないので川の流れの音と鳥のさえずりが心地よく耳にひびく。木の椅子にすわり本を読んだり、ラジウム温泉だそうで泉質もとてもやさしく川面を見ながらの露天風呂も気持ちいいことこの上ない。湯が気に入ったのでなんども温泉に浸かったりとろけるような静かな静かな時間を過ごす。前の川はローマン渓谷というそうで風流な歩行者専用の橋もあり浴衣姿での周辺の散策も楽しい。こんな静かな世界は私の住む名古屋にはない。食事も上等で母もお気に入り。良い宿を見つけたねまた来ようねと話した。

栗本温泉「藤」〒508-0203岐阜県中津川市福岡10-1TEL 0573-72-5000 FAX 0573-72-5001
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清潔なお部屋でゆっくり至福の時をすごす。
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風流な歩行者用の橋をわたりながらの散策もいい。
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宿の前をながれる川
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夕食
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夕食 飛騨牛