フィレンツェの裏地店マリック店主アンドレアに今年も会う。日本ではブランド名を織り込んだ裏地が高級だと言うブランドブームが生んだあだ花とでもいうべき「迷信」がある。そうではなく良いスーツにとってすべりと内側の環境を快適に保つキュプラ裏地自体の品質感こそ色合いこそが重要だということでアンドレアとは深く共鳴し合っているいわば戦友とでもいうべき友人だ。いつも陶器の干支をおみやげにもっていくがことしはそれに添えて妙香園でつくっている、高級抹茶をチョコレートに練り込んだ「チャコレート」を持って行く事にしてサカエチカの妙香園に買いに行く。サカエチカはぼくが小学生のころ1966年に出来た。それまでの地下街と違って道幅も広くまんなかに2年前閉めた日産ギャラリーもありちょっとエレガントな匂いがしていた。そんな通りに妙香園という親戚の茶店が大きく出店していてちょっと鼻高々な気分だったのを覚えている。高校生の頃、授業がおわってからサカエチカに友達と制服のまま繰り出し、名古屋の代表的女子高である金城学院の知り合いの生徒でも偶然に会わないかなと用もないのに何度も無意味に往復したことも恥ずかしい思い出として持っている。日曜日の正午過ぎ、本当にひさしぶりにおとずれたサカエチカ、なんだか名古屋メシの飲食店が並んでいてほとんどすべての飲食店の前にキャリーバッグを持った人の行列ができていてちょっとびっくり。妙香園は祖店の前にはお茶を焙じる機械を据え、香しい香りを放つ事によって来客を促すということを祖母の考案で行っている。そして来店のお客様には買う買わないは問わず抹茶とお菓子を出す事も祖母の考案だ聞いている。そんな利他の精神が2015年現在の妙香園の繁栄につながっているだろう。
正午過ぎでお腹がすいたが周りの店は行列で入るのを諦めサカエチカをぬけ地下街をとおって中日ビルのすぐ近くの地下街にある廣寿司の売店の事を思い出し買いに行った。ここはわたしが子供のころ寿司と言えばにぎりずしではなく間違いなくこれだった「切り寿司」を売っている。切り寿司は型に入れて押した寿司の上に(大阪寿司よりふんわり押すのが特徴)半分は穴子、半分は角麩をのせ甘いツメをぬってあるものでこれは祖母が大好物だったもので、よく買って来ては食べていた。50年のときを経てもその素朴な味わいは変わらず、家に帰っていにしえの味わいを楽しんだ。ちなみにこれはこの中日ビル近くの売店の他、ユニモールの入り口に近い廣寿司でも食べられるので興味ある方は味わってほしい。おみやげは一人前870円(税込)
妙香園サカエチカ店 左が焙じ機が香ばしい香りを振りまく。
日曜の昼だからかどの飲食店の前にも行列が。
上等な抹茶をふんだんに使ったチャコレート。要冷蔵
廣寿司さんの切り寿司。私の中ではこれがザ・スシです。