オルビエートの朝、加賀のあらやさんを思わせる小綺麗な宿、パラッツォピッコローミニで朝食を済ませ、あらかじめメールで予約しておいたタクシーに乗って向かったのは天空に浮かぶ街、チヴィタディバーニョレッジョ。朝は霧雨が降って石畳の道が濡れていた。チヴィタディバーニョレッジョに着いても雨模様で何にも見えないと危惧したが走るにつれて晴れてきて気分は高揚する。オリーヴやブドウ畑のあいだを抜けて走ること30分小さな駐車場に止まりここがチヴィタディバーニョレッジョだと言う。この時点で視界は50mほど。真っ白な霧に向かって伸びる細い歩行者用の橋に期待は膨らむ。入場券を1、5ユーロで買い橋を進む。雲の中の幻想的な乳白色の空間の中をしばらく歩くと霧の向こうに古城のような存在が見えてきた。手前の駐車場側はそれなりにまとまった人が住むバーニョレッジョという街で谷の向こうひときわ高いわずかな台地にある古い街がチヴィタ。急な坂を登りきり城門をくぐると中世から何も変わらない石造りの小都市が広がる。クルマもなく小さいバイクのみ使える不便な街は死にゆく街とも呼ばれ冬の間の住人はたった12人だとのこと。しかしこんないわば過疎の村を大事に保存して修復を重ね観光に使っているイタリア人の古いものを大切にする精神には感服するばかり。だんだんこんな小さな街に住んでシンプルな暮らしをするのいいかなと思いながら散歩。バールでエスプレッソを飲んでいると雲も晴れて良い天気になってきたので街が雲の上に浮かぶ幻想郷の写真を撮ろうと橋に戻ると残念ながらまたもやってきて何も見えなくなってしまった。まあこういうことも思い出の1ページになるんだろうと写真は諦めオルビエートへの帰途についた。

2015-01-15-18-13-08

橋を進むと天空の城が見えてきた

2015-01-15-18-16-34

城門に入ると昔のままの街

2015-01-15-18-17-21

天空の街から見える景色

2015-01-15-18-26-39

蜂蜜色の街