フィレンツェ、ピッティイマジネウオモは天気がよく暖かかった。でも初日は同じ日に開催のロンドンコレクションに人を取られたのかガランとした1日だった。でも2日目は打って変わって人の波。いつものピッティの姿でした。ピッティイマジネウオモのレポートは帰国してすることにして旅日記を続ける。

ピッティイマジネウオモの開催されているフィレンツェを後にしようとフィレンツェサンタマリアノヴェラ駅に向かう。電車は15時9分発だったので切符を買おうと売り場を見ると長い列。こんな時は自動券売機か近く場所へならキオスクでも売っているのでオルビエート発を買う。特急フレッチャロッサなら40分の街を準急は2時間かけていく。きついなあと思いながら乗ってみると車窓から見えるトスカーナとウンブリアの田園風景が楽し山の上に街があるのを眺めたり途中で見える大きい湖に驚いたり、テルメという途中の駅名にどんな温泉なんだろうと想像している時間の経つのを忘れる。イタリア語のぶっきらぼうなアナウンスにオルビエートの名前を聞いて到着を知る。オルビエートは駅からかなり高い位置にある岩の台地に並ぶ中世の街並みで有名、一度来てみたかった。
駅に降りタクシーに乗ると坂道をどんどん登って行く。坂道を登りきると夕方の光の中でブラウンに輝く石造りの街並みに出て、細い道に入ると本日の宿パラッツォピッコローミニに着く。事前にメールでやりとりしていた事柄をホテルスタッフと確認してから部屋に入る。サッとシャワーを浴びたらすぐにお楽しみの知らない街のさまよい歩き。

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曲がりくねった坂道に並ぶのは石造りの建物。日本には古い建物が残る街はあるが、イタリアのように「歴史的地区」と限って新しい建物が純粋に一軒も無いところは無い。ここで映画のロケでもすればすぐに中世が舞台の映画などできてしまう。岩の台地を端から端まで歩いてオルビエートの街の大きさを感じる。だあれもいない曲がりくねった小道を歩きながらいにしえのイタリアを想像したり、こういう美しき街を訪れることができた幸せを感じたりする。そうこうしていると予約したトラットリアに行く時間となる。中世に建てられた時計塔のある石造りの屋敷の片隅がトラットリアになっている。入り口すぐの席がストレンジャーの定位置。初対面のアジア男がいきなり奥に通されても変な気持ちになる。入り口近くが旅の者としては落ち着く。ガス入り水とともにまず選ぶのがオルビエート名物の白ワイン。普通のものが一番うまいと思い、いつもヴィーノデラカーザ。上には上があるがぼくはそれで充分楽しめる。アンティパストとパスタと肉を選びまず出てきた料理に驚いた。皿の上にはプリンのようなピンクの小山にゴマのようなものが乗っている。フォークで崩してひとくち味わうとほとんど生肉のミンチの上に黒トリュフの刻んだのが乗っている。今日本ではご禁制となった生肉だが食肉文化が深いイタリアならではの一皿だと感銘。手作りパスタで作ったカルボナーラも白ワインに優しく寄り添う。遠くに動かさず原地で飲むワインは舌に乗せると微発泡を感じる。深い味わいの葡萄酒に陶然となりながら夜が更けていった。