いままでイタリア出張ではやはり仕事優先という意識がどうしても強く、美術館に行くのを除いては景色を見に行くということに時間を割くのは避けて来た。でも昨年六月の出張の際ピサからジェノバに向かう電車の窓から海の景色とリゾートで楽しむ人たちを見てせっかくイタリアまで来ているのだからストイック過ぎる気持ちはすこし捨てて時間を自分たちのために使うのも悪い事じゃないと思い始めた。1/13に書いたように今年は洋服をめぐる旅に加えて洋服とは全然関係ないが魅力的な丘の町オルビエートへの小旅行を加えてみたし、いままではバカと煙は高いところに行きたがると言ってホントは登りたいのにやせ我慢してフィレンツェサンタマリアデルフィオーレ大聖堂のクーポラに登るのをかたくなに拒んでいたが今回は思い切って登ってみた。
1/14バッソ要塞のピッティウォモに二日目出かけた後、サンタマリアデルフィオーレ横の鐘楼一階にある切符売り場で入場券を買い、大聖堂正面から左に回ったところにある入り口からクーポラの頂点を目指した。まずは大聖堂の本体を階段で登って行く。これも創建当時のままの石造りの階段で真ん中の部分はすり切れてへこんでいる。とにかく疲れを感じる前に登らなければと急ぐと思ったより早く大聖堂本体の階上であるクーポラの付け根にでる。ここからはクーポラ内部に描かれた芸術家列伝で有名なジョルジョバサーリ作の最後の審判が目の前で見える。バザーリももちろん大芸術家なのだがシスティーナ礼拝堂ミケランジェロ作の最後の審判と比較するとやはり雑に書かれている事は近くで見ると初めて分った。遠くでみるが花ということもあるのだろう。このクーボラはルネサンス建築の始祖ブルネレスキが設計した二重構造になっている。例えばローマのパンテオンなどはコンクリートで積み上げてドームを作ってあるが二重構造ということは内側が小さめのボウルを伏せた形そして外側がそれより少し大きめのボウルをかぶせたという感じだろう。その間の細い空間に登る階段が有る。だからクーポラの頂上には暗くて斜めになっている細い道をたどたどしく登って行かなければならないので時間がかかる。上になるにしたがってこう配が急になり最後ははしご段をほふく前身するとキューポラの頂点にでる。ここは小さな礼拝堂のようになっていてこの上にある丸い巨大な金の球はレオナルドダビンチの師匠であるヴェロッキオ親方の工房が乗せたと言われている。その際にダビンチの天才的な頭脳が役立ったのかもしれない。登りきるとフィレンツェ歴史的地区のテラコッタ色の町が美しい。その眺めに脚に貯まった乳酸のつらさもふっとんだ。
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一番上に金の球が見える頂上まで登るんだと身震い。
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教会の上まで登って下を見れば人が豆粒ほど。
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バザーリの書いたクーポラ内部の壁画が目の前に
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クーポラではこんな階段を登り続ける。
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最後はむなつき八丁
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登るとこんな眺望が待っていた。

オルビエートで泊まった次の日の朝はタクシーで天空の街「チヴィタディバーニョレッジョ」 に向かった事は1/16のブログで書いた。チヴィタディバーニョレッジョから帰ったあとフィレンツェのトロットリア「パイオーロ」さんで紹介してもらったオルビエート大聖堂左のレストラン「ヴィーノスース」でオリビエート特産のワインを頂きながら食事をした後オルビエートの街を散歩した。 チヴィタだけでなくオルビエートもまた天空の街と言われる。ここからながめる下界の眺めも感動的だった。古い家や城以外人工的な建築物が一切ない大地に下界を流れる雲がまるで大河のよう。ああこんな美しい眺めいままで見た事有るのだろうか。ことさら肌寒くもなく空気はきわめて純粋に澄み切っている。そんな中、時間に追われることなく眺めをこころゆくまで堪能した。
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雲が大河の流れの如く オルヴィエート
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散歩道の向こうに雲海が眺める。 オルヴィエート
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猫越しの雲海  オルヴィエート
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オルビエート大聖堂 ミケランジェロも参考にしたダイナミックなルカシニョレッリの壁画。
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大聖堂の近くヴィーノスースさんでおすすめのオルビエート白にあわせて。
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トリュフとチーズのパスタ ヴィーノスース
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赤にあわせてチーズとマルメラータ ヴィーノスース