木曜日は正午過ぎに店を出て新幹線に飛び乗り東京駅に午後2時半に着く。丸の内のセレクトショップで市場調査を兼ねてお買い物。以前東京のショップは偉大なる田舎と言われた名古屋と違い置いてある物は圧倒的におしゃれでキラキラ輝いて見えた。しかしネットが普及し世界が均質になったのかアイテムにあまり違いはないような気がする。イタリア通いに慣れた目で見るからか少なくともナポリのキアイア地区で感じたワクワク感は残念ながらそこにはない。

そんな事を思いながらすこし買い物をした後、地下鉄丸ノ内線と千代田線を乗り継ぎ乃木坂駅に直結の新国立美術館で開催のルネマグリット展に向かう。学生の頃の美術の時間でルネマグリットについてのレポートを書いたことがあり、ヴェネチアのペギーグッゲンハイムでも見たマグリット(ポールサイモンが彼の事を歌っていましたね。)はシュールリアリストでもあり好きな画家で彼の展覧会ならタイトなスケジュールな中でもどうして見たかった。展示室に入って見ると点数も多く本当に見応えがある。シュールリアリスムの絵はこころの奥底に向き合うためか陰鬱な感じがする絵が実は多いのだがマグリットのそれは明るく、表現の方法やオリジナリティを前向きに探るエネルギーを感じる。一枚一枚じっくり味わう価値のある絵が本当に沢山あったが時間はあまりにも限られていた。

後ろ髪をひかれながらタクシーでロロピアーナさんのオフィスに向かい、M&Aでロロピアーナ傘下となったソルビアティの秋冬コレクションの一部を見る。そしてポールマッカートニーの東京初日に間に合うべく東京ドームに向かう。

2年前の秋はじめてポールマッカートニーのコンサートツアーを見て感激した。去年は残念ながら中止になったがもういちど70過ぎとは感じさせない力に満ちあふれた歌声を聴きたかった。音楽というのは世代を代表するムーブメントであり通常、それを聞いていた世代で客席は埋まるのがふつうだがポールのように若者から年老いた人までの幅広いファンというのは他のアーティストのライブでは考えられない。ミラノのドウオモがミラノ大聖堂なら東京ドームは東京大聖堂となる。大聖堂のつどう人々が自分自身の内なるポールマッカートニーと米粒くらいだったかもしれないが現実のポールマッカートニーとひとつに重ね合わせるエクスペリエンスだった。マジカルミステリツアーで始まり、ビートルズが最後に録音したアビーロードのB面のTHE ENDという組曲が30曲にもおよぶ長いライブの最後の曲。ポールありがとう。これからも元気で歌ってください。 
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国立新美術館にて
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ロロピアーナのオフィスでソルビアティの楽しいコレクションを見る。
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東京ドームに入ろうとして隣を見たら同級生のS君が偶然に。彼はコンサート友達でもある。
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日の丸とユニオンジャックを振ってアンコールに登場したポールマッカートトニー。