2年前シャツ工場を見るため岡山県玉野市に行く機会があった。途中どうしても行きたかった倉敷に立ち寄った。なぜ行きたかったかというと45年前、中学修学旅行で倉敷の美観地区に子供ながら感銘を受けたから。新幹線を岡山で降り在来線に乗り倉敷駅に着いて小雨降るなか美観地区までバスで行った。大原美術館は本館をまずじっくり見た。中学生の頃より西洋絵画についての知識量は確実に増えているのでより楽んだ。そして本館の西洋絵画以上に工芸・東洋館に感銘を受けた。陶芸、版画、染色、民の工芸に美の本質を見る思いがした。美術館につい時間をとりすぎてそれからシャツ工場へ向かおうと思ったがタクシーが拾えない。時間が迫るなかふと大原美術館の隣りの倉敷国際ホテルに入った。クラシックで落ち着いたホテルには棟方志功の大きな版画が展示してあり倉敷ならではの美術な雰囲気。そこに泊まったわけではなかったがホテルスタッフの方にお願いしてタクシーを呼んでもらった。客でもない私たちだったが丁寧に接して頂きタクシーがつかまり無事シャツ工場に行くことが出来た。なにより美術館に隣接した美術館のようなホテルなどそうそう有るわけではない。ホスピタリティあふれるこの親愛なるホテルにいつか客として泊まってみたいと我が心に約束し、それを果たすべく今週の水木の休みに泊まることにした。美術を見ることが好きな母親も連れて。

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大原美術館 本館

ラッシュアワーを避けるため名古屋を早朝出て、新名神、名神、中国道、山陽道を経て倉敷に着いたのは午前9時過ぎ。初めてのクルマでの中国地方は意外なほど楽だった。母親は疲れるといけないので新幹線で別にくることにして無事昼前に倉敷駅で合流、そして初めての瀬戸大橋のドライブ。下に電車も通る巨大な橋を抜ければ坂出までは40分たらず。ちょうど昼だったので一時間しか営業しないといういわば奇跡の店である日の出製麺所でうどんをいただく。地元民は行かない似非B級グルメ店とは対極にある、うどんにうるさい地元の勤労者高校生らが通うすべてをそぎおとした真の名店
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坂出 日の出製麺
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坂出 日の出製麺

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瀬戸大橋

お腹を満たして倉敷に向かった。ホテルでチェックインして改めて建物としての倉敷国際ホテルを観察するとその設えに、統一感に重きを置くモダンなミニマリスムとは一線を画する美意識を感じる。手すりを作るならこの職人、部屋のランプはこの作家とかきっと考えたのだろう、隣接する大原美術館の東洋・工芸館に通じる美へのこころを感じる。
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倉敷観光ホテル、棟方志功の壁画
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エレベーターホールのデザイン
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フロントカウンター下にも丁寧な仕事が
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ホテルのしつらえは複数の建物が並ぶ大原美術館東洋・工芸館の美意識にも似て

夜は美観地区の食事処で楽しむ。その後ひとりでこの小都市のやさしい人々の言葉を聞くため街をうろつく。
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倉敷美観地区の夜景

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倉敷の夜の街で出会ったストリートで歌う若者と。わたしがもう少し若ければ。

次の日はゴルフでもしようかと倉敷カントリー倶楽部に予約したがあいにくの雨。でも気を取り直してティーオフ。寒さと雨のなか身体が回らずボールも飛ばないので良いスコアはでないがゴルフはやはり楽しい。コースは伝統的でオーソドックスなレイアウト。グリーンのクオリティは高くこんな雨の日もスティンプメーター9.5のスピードを出す。岡山を代表するコースを目指す倉敷カントリーだからさすがにスタッフも優しくプレーヤーを見守る。また今度フェアウェイの緑が青いいい季節に来たい素晴らしいコースでした。

ゴルフの後、次の日も大原美術館で鑑賞していた母を美観地区でピックアップして帰りは全員、クルマに乗り激しい雨の中ですが名古屋へ帰りました。