このブログや当店のウェブサイトに「アンコン」という言葉が出てきます。ファッションに興味のあるかたならご存知だと思いますが、なんのことやらと思われる方も多いはず。あらためてご説明いたします。
通常は本バス毛芯仕立て
通常当店のスーツ・ジャケットは本バス毛芯仕立て。  美しく立体感のある上着を仕立てるため、上着の内部の前の部分にウール製の薄い布そして特に胸の部分には馬のしっぽの毛でできたバス芯といわれる布を縫い付けています。
平板な印象を与える安物の接着仕立てではありません。
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これが通常の本バス毛芯仕立て。美しい立体感があります。
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本バス毛芯仕立て。内部は角台場総裏。

カジュアルに仕立てるため芯を少なく。
本バス毛芯を縫い付ける仕立ては美しく立体的にできあがり、それがまさに正統派です。でもカジュアルに着るには軽くふわっと仕立てたい。そのためなるべく少ない毛芯つまり構造物(コンストラクション)を減らして仕立てます。構造物を減らすからアンコンストラクション。unconstruction.略してアンコンといいます。構造物が少なく服地だけでフォルムを支えるので服にハリはありませんがそれがヌケ感(リラックス感)につながりカジュアルになるのです。
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アンコン仕立ての内部。オモテ地を大きく使う「大見返し」です。

アンコンと言っても
当店はアンコンでも安易な接着仕立てではありません。肩パットはフェルトのみ、胸には極薄の毛芯を縫い付けることで軽さを表現しています。どうしてもきっちり作るクラシックな仕立てが得意な工場ですから、アンコンと言ってもキレイでその仕立て上がりの感じはわからないかもしれません。
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アンコン仕立て/普通袖

肩は普通袖と、マニカカミーチャの2種類

アンコン仕立ての肩は通常と同じ普通袖と、肩先にシワをよせる(雨振り袖)マニカカミーチャの2種類からお選びいただけます。
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アンコン仕立て/マニカカミーチャ
アンコンの使い方
ジャケット素材をアンコンで仕立てることによってよりカジュアル感が強くなります。もうひとつ。猛暑の夏をより涼しくすごすため、スーツ素材をアンコンにする手もあります。スーツ、ジャケットの兼用で使えるセットアップスーツにもアンコンは最適です。