先週の水曜日、しもちゃんとQさんを誘って朝早くから高野山に向かいました。目的は高野山の壇上伽藍にある金堂で行われる秋の金剛界結縁灌頂です。
結縁灌頂とは
弘法大師は苦労して唐に渡り、長安で恵果和尚より真言密教を学び、灌頂を受けました。真言密教の最も重要な儀式が灌頂(かんじょう)です。古来インドの王位を継承する際の儀式に由来すると言われています。結縁灌頂(けちえんかんじょう)は、誰でも受けることができます。さまざまな儀式の後、「投花得仏(とうけとくぶつ)」といって、目を覆われた参加者が手に印を結び口に真言を唱えながら曼荼羅(まんだら)に花を投じ、落ちたところの曼荼羅の仏さまと縁を結びます。大日如来の智恵の水が受者の頭頂にそそがれることによって、最もすぐれた仏縁が結ばれ、一切の罪障を滅ぼすことができると言われています。
以前、司馬遼太郎著「空海の風景」で灌頂を知り、ずっと参加したいと思っていました。今年の5月妻と高野山の胎蔵界灌頂を受け、そしてその厳かな儀式に感激し、次は友人を誘ってぜひ10月の金剛界灌頂を受けたいと考えていました。10月2日(水)はちょうどお店がお休みで友達二人を誘ったというわけ。
朝6時に名古屋を出て東名阪自動車道、阪奈和道を通り、高野山の山道を登り金剛峯寺前に着いたのが午前10時頃、宝物館で運慶快慶のすばらしい彫刻を見てから灌頂の儀式が開かれる金堂に出向きました。暗い堂内で目を覆われて御真言を唱えながら、少しずつ少しずつ進み、目の覆いを取って前を見ると大きな曼荼羅があり、世界が曼荼羅中心に回っているような感動を覚えました。
稀有な結縁灌頂と出会い、今年5月の胎蔵界、そして10月の金剛界と両界の灌頂を受けることができて幸せな気分に満ちながらその日のうちに名古屋に戻りました。