今週水曜日ドーメルジャポンさんの宴は午後7時からだったので新橋駅近くで一泊しました。次の日は取引先一軒回るだけで、東京での時間に余裕があったので、あまり知らないアーティストでしたが「ルイーズ・ブルジョア展」に出かけました。
ルイーズ・ブルジョアという女性がどんな絵を書いているか、どんな彫刻をつくっているのか全く知識がなかったのですが、全く知らないアーティストの展覧会にいくのも楽しいものです。自分の美の領域が広がり、自分にとっての新しい美の基準をアップグレードできる気がします。
地下鉄六本木駅から歩いて15分、六本木ヒルズは巨大なのでどこから森美術館に入るのかわかりにくくちと苦労しました。エレベーターにのって47階、美術館の入口についたときはちょっと疲れてしまいました。中に入ってみますと、水彩画やワタのようなものでつくった土偶のような作品や、メタリックな作品など彼女の幼児期からの体験にもとずいた刺激的な作品がカッコよく並んでいました。タペストリー修復業を営んでいた父親との関係が彼女の作品に色濃く反映されているとのこと。当時はジグムント・フロイトの理論、学説が心の解明に深く関与していた時代。ルイーズ・ブルジョアも長年精神分析を受けていたそうです。
彼女の代表作、巨大な金属製の蜘蛛のオブジェ「ママン」のよこで彼女がアカペラでロックを歌いまくっていている映像のインスタレーションや東京のランドスケープをバックに金色の丸い輪のような人体像が浮かんでいたり、巨大な木のロールがマネキンを轢くようにおいてあったり面白くみることができました。こういう初めてみる現代アートに直面すると、このアートが美しいかどうか、こころを打つかどうかもそうですが、どうやってアーチストとして上り詰めてきたのかということにも興味が湧いてきます。世の中にはもう何万というアーチストがいて、そのほとんどは人に知られずに一生を終えていきます。この日森美術館にはたくさんの人が来ていましたが、98歳をパリとアメリカで生きてきたルイーズ・ブルジョアが彼女の人生のなかでどうやってアートを醸成させてきたか深く知りたくなりました。