デビッド・ホックニーの絵はわかりやすい明解な絵ですが、かといって単純というわけでありません。含蓄があり見ていてとてもおもしろく、この画家がどんなことを考えているか知りたくなってきました。東京で行われている展覧会でも図録を購入しました。
画家は絵によってすべてを語り、音楽家はソングによってそのすべてを語る。それだけじゃなくてか、そうも考えましたが、ネットで調べるとデビッド・ホックニーには最近の著書が二冊ありました。マーティン・ゲイフォードとの対談「絵画の歴史」そして「春はまだ巡る」。どちらも図録も面白そうなので2冊とも買ってしまいました。まず最初に読んでいるのが「絵画の歴史」。洞窟壁画からipadまで。画家の言葉なので詩的な表現もありますが、われわれが愛している西洋絵画をどう見て、どうやって作られたかを対談で考察して、ホックニーが3次元の現実世界をどうやって二次元の絵にしているかを語っています。
「映画はいまではmovie、cimemaと言っているが以前はpictureと言われていた。」
われわれがイタリア、ヨーロッパで追っかけてきたカラヴァッジョについても詳しく考察しています。オールドマスターを語るとき、われわれ美術好きの一般人と同じようなキラキラした目で名作を前にしてその絵に向き合っている姿が伺え、読んでいてその楽しい時間を共有できるのです。ホックニーはオークションで現在もっとも値がつく生きている作家といわれています。
現在住む美しい自然にあふれるフランス・ノルマンディで、毎日屋外で光に向き合い、絵を書いているホックニーは世界で一番幸せな人にも見えてきます。
ホックニーからのことば。 Be yourself.
先般買ってこのブログでもお伝えしたボブ・ディラン著「ソングの哲学」はまさに快作です。ちょっと時間ができたので読んでいない部分も詳細に読んでみました。
ディランがピックアップした66曲のソング(modern song)にはビートルズ。ローリング・ストーンズ、エルトンジョンなどの曲はなぜか含まれていません。現在日本に生きている人にとっては無名な曲が多いかもしれません。エルビス・プレスリー、ロイ・オービソン、ジョニー・キャッシュなどのサンレコードのオールディーズも多いのですが、エルビス・コステロ、ジャクソン・ブラウン、ウォーレンジボンなど若手?も入っています。66曲の8割以上知らない曲なんですが、和訳者が親切にもyoutubeで紹介してくれています。そして豊富な画像の意味も紹介しています。ディランの書いたちょっと奇妙で独特な文章と原曲と画像でいわば立体的に楽しめるのです。また例えば名曲が参考にしたクラシック音楽なども解き明かしていて、そのソングだけでなく、アメリカのポピュラー音楽についての知識もまちがいなく増す一冊です。