日本人のくせに歌舞伎、能、狂言、浄瑠璃、長唄、小唄もしらないまったく不粋なわたしだがポップミュージックだけには鼻が利く。先日ピーターバラカンさんの「インターネットバラカン」で紹介していたTIN MENのライブが今池のライブハウス得三であったので聞いたことないバンドだったがきっと良いライブになるとピンときて妻と出かけた。
得三のある場所は大好きな今池のダウンダウン、ライブの前に百老亭で腹ごしらえ。ふわりと柔らかい小さい餃子は粋な名古屋のすがた。老酒といただいてから得三に入るとバラカンさんの宣伝が効いてかまったく日本では知られていないバンドなのにお客さんでいっぱいでうれしい。最前列のちっちゃいいすが空いていたのでそこに陣取りライブが始まる8時までお湯割りの芋焼酎をすすりながら待つ。ふつうライブに出かけると知った顔の一人や二人いるものだがだれもいない。ステージには楽器はフェンダーのギターアンプ、ツインリーバーブが一台置いてあるだけ。客層からもステージセットからも出る音楽の予想はできない。出て来たのはフェンダーのリゾネータ付きのエレアコを抱えたミッキーローク似の男、スーザホーンと呼ばれる巨大な管楽器をかかえた目の優しい太った男。まちがいなくお手製のウォッシュボードつまり洗濯板の首から下げた男の三人。このスリーピースが奏でるのはひねりの聞いたアメリカ音楽、ニューオリンズジャズだったり、カントリーミュージックだったり、ブルースにしてもスリーコードに飽きたぼくもおもわずわくわくするヒネリの利いた音でツボを刺激してくる。知っている曲はほとんどないが僕も会場のみんなも大喜びなのはこのスリーピースが発生させるグルーブが心地いいから。リズムは洗濯板をこするだけ、簡単そうにも思えるがこのノイズに身を任せていると金属音ひとつ、ベルの音ひとつが意味を持って聞こえてくるから不思議。どうやらこの楽器の名手らしい。ギタリストはまさに凄腕でコードを押さえながらメロディーも奏でられる。スーザホーンのユーモラスでエレガントでさえある低音は気がついたら今池からニューオリンズに連れて行ってくれる。ニューオリンズのセカンドラインでもりあげてフィナーレはシャレでツェッペリンのロッククラシック「移民の歌」。そうかスーザホンと洗濯板、ギターのリゾネータがぜんぶ錫でTIN MENなんだ。ああ楽しかった。良いライブでしたといつもはぶあいそな得三の亭主に声をかけたら目が笑ってた。
TINMEN この三人のグルーブったら。
はじめてみた名古屋のお客さんも大喜び。
このかっこいい曲も演奏しました。
ライブの前に百老亭で。美しい姿の餃子。
まだまだTIN MENの日本ライブは続く。おすすめです。
open 18:30 start 19:30 (入場時、1ドリンク必)