ポールマッカートニーも大好きだけど、世界中みんな知っている音。ユーミンも桑田もいいが日本中誰も知っている音。聴いた事ない音楽を聴きたい。聴いた事が無い音楽でこころを揺られたいといつも思っている。
ブルースもいい。でも中学のころからずっと聴き続けていると正直飽きてくる。エイトビートも好きだ。でもそればっかしじゃあねえ。そんな思いから聴いた事のない音楽家のライブに勘をたよりに行くことがある。名古屋の得三は店主は無愛想だがお酒を飲みながらいい音楽を聴くことができるので得三のウェブサイトを見てこれよさそうだなと狙いを定めときどきライブに行っている。今日はアルゼンチンの女性ボーカリスト フロレンシアルイスのライブに出かけた。予備知識ゼロ、ただ彼女がソリッドギーターを抱えている姿にピンと来て予約をした。どんな音なんだろうととても楽しみにしていた。
仕事を終えて、今池にかけつけ得三に到着したのは19時5分前、席はほとんど埋まっていたが最前列に2つ席があったので妻とそこに座った。名古屋のオーディエンスは奥ゆかしいので一番前って空いている事がおおい。19時30分ステージにフロレンシアルイスとバンドの面々登場。フロレンシア・ルイス(vo.g)鬼怒無月(g)佐野篤(g.b.vo)ヤヒロトモヒロ(per)ヴァイオリンMarcelo Lupis / マルセロ・ルピス。鬼怒無月さんは凄腕のギタリストという事でそれも期待していた。予定調和の無い音楽。アルゼンチンの生まれだがあのタンゴを直接感じることはない。地域とか影響を受けた音楽とかそういう外的要素じゃなく、フロレンシアの奥底から産まれたような音。舞台で奏でられる音楽は、聴いた事も無いコード進行だがけっして奇をてらっているわけでもなくフロレンシアは伸びやかに、自分に正直に歌い上げている。それを優しく、日本の優秀なバントメンがささえる。聴いていてだんだんきいているぼくらが清らかになるはフロレンシアの歌声のせい。アルゼンチンの純粋な魂が汚れきった都会のぼくらの心を掃除してくれる。ただ癒しなどどいうスイートなものではなく時にはエッジを研いだナイフのような鋭さで、時にはどろり濃密に音を紡ぐ。5月の半ばからはじまった彼女たちのライブもあと三回を残すのみ。もし機会があるなら聴いてみるのはいかがでしょうか。
出演:フロレンシア・ルイス、ロス・オンゴス・オリエンタレス