暦の上では春と言っても昨日は大寒。ときおり雪がちらつくことしはいつもより寒く感じるのは気のせいでしょうか。

こんな時期に一番美味しいのは鍋物やおでん。コロナ禍じゃなくても錦三の繁華街に暮らしているのにウチメシ好きの当家は家でおでんを仕込みます。昨日は妻がアルミの大鍋で昼過ぎからおでんを煮ていました。

夕食の時間にはおでんを盛り付け、定番のカラシとともに南信、飯田でおでんのときによく使われる「ねぎタレ」といただきました。南信は名古屋からもそう遠くなく友人やお客様もいらっしゃいます。また当店の前の道はかつて飯田街道でした。縁のある土地です。ねぎタレ」でいただくおでん、美味しゅうございました。

田中家おでん、ねぎだれ添え
おでんは大鍋で

おでんは好きで冬だけでなく夏でもよくいただきます。また旅に出るとご当地のおでんをいただくこともしばしば。おでんというのは地方によってお雑煮ほどのバリエーションは無い気がしますが、その土地土地での微妙な違いにちょっと楽しくなります。

金沢のおでん

豊富な魚介類や地元野菜で知られる美食の街、金沢にもおでんがあります。昨年9月、家族で金沢に行ったとき香林坊の「赤玉」さんに行きました。車麩や加賀野菜がいいですがシュウマイも定番おでんだねのようでした。

車麩、ゆば、赤玉の金沢おでん
おでんのあとには茶飯が定番

沖縄のおでん

常夏の島、沖縄でもおでんは好まれていただきます。テビチもおでん種として有名ですが、青菜をおでんのだしに入れていただくのがとっても好きです。やはり泡盛でいただくのが雰囲気ですね。ネットで見つけでかけた県庁前「おふくろ」という激安おでんやさん、泊まったANAホテルに帰ってバーのバーテンダーの女性に「おふくろ」に行ったことを告げたら私もそこ好きですと言っていたのが思い出されます。

静岡おでんはブレーク前から

NHKの番組でも紹介された、静岡おでんのルーツ「小川氷店」は静岡市浅間通りの母の実家の3軒となり。まだ世の中にB級グルメなどの言葉すら存在しなかった40年前から母の実家に行ったときの昼飯に小銭を持って通っていました。おでんに青のりを混ぜたかつぶし粉をかけるのが静岡おでんの作法。黒はんぺんが静岡おでん独特のおでん種と言われていますがわたしはじゃがいもが好きです。

東京のおでん

最近あまり行けていませんが、新橋のおでんやさん「お多幸」も好きです。濃いめの出汁が張ってある大きな角型のアルミの鍋からおでん種をとりわけるおでん屋ならではの楽しさがありますね。子供の頃、名古屋御園座の地下に同じ名前お多幸」というおでんやがあり祖母に連れられ行った思い出があります。支店かもしれませんがいまでは調べるすべもありません。

大阪のおでん

大阪のおでんといえば、梅田食道街の「たこ梅」。いやおでんじゃなくて関東煮(かんとだき)ですね。ここのタコとクジラの脂身を煮た「さえずり」は通人に知られています。庶民的な店構えですが、若い頃出張の帰りに立ち寄ると敷居の高い気がしました。ただ近頃は歳もとったせいか気楽にカウンターに座って飲めるようになりました。

番外編 イタリアのおでん

約15年前、ピッティイマジネウォモの帰りイタリア中部マントヴァに出かけたとき、雨がそぼふる寒い冬でした。ホテル近くで見つけたトラットリアでのひとりぼっちの夕食に、肉の塊やごろっとした野菜を煮込んだイタリアのおでん「ボリート」をいただいたことがあります。日本のカラシにも似た、カラシとジャムをまぜた薬味に日本を思い出しました。