服地卸組合の旅行で7月初め加賀山代温泉あらや滔々庵に泊まった。私がいままで泊まった温泉旅館のなかでここは最高の旅館のひとつに数えることができるだろう。大きくない静かな宿で源泉掛け流しの泉質もすばらしく自家製ばかりのこころこもった料理も最高品質。さらにここには北大路魯山人ゆかりの宿で多くの作品が飾ってあり、さながら小さな美術館に泊まっているよう。こんないいところ僕一人だけ行ったら申し訳ない。そんなことで母親、ヨメの母親、ヨメ、娘をつれて7/26お店を臨時休業して山代あらや滔々庵にでかけた。
名神高速から北陸道をひた走りまず橋立漁港の料理屋「しんとく」に行く。ここは一階にあるマルヤ水産の魚介を食べさせる店でシンプルな料理法でおいしく魚を食べさせてくれる。全員満足で山代温泉に向かった。

山代は湯の曲輪(ゆのかわ)という街の構造になっている。ロータリーのまんなかに古総湯といわれる古い浴場が建っていてそのまわりに旅館がとりまいている。昔は多くの温泉町がそういう形だったそうだがいま山代だけがそういう街が残っている。
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ロータリーの中央に古総湯。左の黒い建物があらや滔々庵

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美しい裏山の緑が見える部屋。

あらやさんの裏山の緑がながめる美しい部屋にみんな喜び、旅の疲れを癒しにお風呂に入った後、近くにある九谷焼窯元「須田菁華窯」に向かった。初代須田菁華は北大路魯山人に九谷焼を伝授した方で、四代目は登り窯、松の薪、ろくろと古九谷の技法をそのままいまに伝えている。そんな本物なのでお値段は安くないがどうしても欲しくなってなずな柄の染め付けを一枚だけ購入。これでお造りやおつまみを楽しむつもり。
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購入したなづな柄染め付け皿

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趣のある須田菁華窯 看板は魯山人作。

夜は部屋で夕食を楽しむ。おいしい料理に酒は銀嶺立山、しめに由緒ある建物、有栖川山荘のバーでワインを楽しむ予定だったが睡魔におそわれ不覚にもそのまま眠り込む。

次の日は朝早く目が覚め何度も温泉を楽しむ。展示してあった魯山人の名品もじっくり目に焼き付けた。極上の1日を期待できる極めて清涼な朝ご飯を部屋でいただく、旅館のおみやげは定番の温泉卵。66度の温度で6時間茹でひとつづつ薄紙につつんである卵はありきたりだがなぜかおいしい。

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あらやさんの手作りの朝食 器も秀逸。

旅館を出たみちすがら名古屋の中心部ではみかけない「しまむら」があるので楽しむ。娘は楽しい服が極めてお求めやすいお値段で買えるで大喜び。「ブランド」や「セレクトショップ」のものを上から下までばっちり着るのもいいがこういうファストファッションをまぜておしゃれを楽しむことはわたしはとても好ましいと思う。これみよがしでないのでイタリア語で言う「シンパチカ」な方法だし実は成熟したおしゃれの形だ。

それから農協の「元気村」を見つけ現地の野菜をいろいろ買った。そうめんカボチャもみつけ試してみる事にした。こういう市場や道の駅で野菜を見るのは大好き。

高速道路で帰る途中NHK「江」ブームで沸き立つ琵琶湖畔長浜をおとずれた。16年前、病気が小康状態だった父と一泊の家族旅行をした懐かしい場所だ。「鯖そうめん」というのを見つけ食べてみた。焼き鯖を煮付けてその汁でそうめんをからめてある珍しい味で家族全員大喜びだった。一泊だったがみんな楽しんだ良い旅でした。
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長浜の古民家「翼果楼」にて鯖そうめん