先日のロロピアーナ第一陣に続いて一着単位で買い付けした服地とエルメネジルドゼニアの一反買いした分が入荷してきた。買い付けたものすべてではないが仕上がった服地から8月の末まで出来上がった物から送られてくる。ロロピアーナはイタリアクアローナの工場からミラノマルペンサ空港を経て直接当店に入ってくるがエルメネジルドゼニアはまず東京の倉庫に集められそれから入荷することになっている。

エルメネジルドゼニアとの付き合いはまだ当店が前身のテーラー用の服地を扱う織物問屋だったころからの古い取引先だ。ゼニアジャパンも設立されておらず、エージェントだった「鷹岡」「有本」を通して仕入れていた。当時からモデルが着用した写真と服地見本が掲載のブックが配布されていた。それが現在も続き服地サンプルブック「アンテプリマ」(イタリア語で内覧会)となっている。エルメネジルドゼニアの服地は世界はもとより日本でも人気が高い。そのためゼニアジャパンを経由した正規取扱品のほかに並行輸入品や、アパレル向けに作られた服地の残りがオーダーマーケットに流通している場合がある。アパレル向けは紺色のcloth by Ermenegildo Zegna のタグになっているが正規品は赤いタグがついている。
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正規取扱品はゼニアのシールで封をして入荷します。

「出自」が大事。
並行品でもアパレル向けでもゼニアで作られた物なら一緒じゃないかと思われている方もいるだろう。しかしオーダー市場、テーラー向けに品質管理したという保証というのは正規取り扱い品しかない。服地メーカーというのはその製品によって得意科目が有る。例えばロロピアーナならゲンメ工場の糸を使いクアローナで織り上げたタスマニアン、ゼニアなら何年買い付けても品質が変わらないトリヴェロ工場で織られたエレクタ、ドーメルならブラッドフォードのミノバの工場で作ったウーステッドなど、工場ごとに定評のある製品がある。正規代理店から入った場合は工場、経路がはっきりしているのでその定評を信じていいのだ。
クラシックスーツはやはりカジュアルとは違いヒエラルキーとしてとらえるとメンズファッションの頂点に位置する。その素材がどういうところで作られているか分かるつまり「出自」が明らかだという事は頂点としてとても重要なことだと思うのだ。どこで作られたのか分からない素材を使ってもスーツはできる。でもそれは「スーツ」であって「クラシックスーツ」ではない。
また実際確認した訳ではないが本物そっくりのイミテイションが出てくる事も将来の可能性として考えられる。そんなリスクを防ぐ意味からも正規代理店からの素材だけを当店は買い付ける。

(入荷した素材は店頭にきれいに並べ8月末には当店でオーダー受け付けます。その際、このブログとホームページでお知らせいたします。お楽しみに。)

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この服地達がどんなスーツになっていくのか楽しみ。