昨日昼、塩尻から岡藤さんが名古屋にお仕事があったとのことでご来店いただいた。もう長い間オーダーサロンタナカをご愛顧いただいているスーツラバーである。やはり洋服を愛していると洋服からも愛される、とわたしは思っている。写真をご覧頂くとわかるが「着こなし」というのは読んで字の如く「こなし」「こなれる」つまり成熟してくるというわけで岡藤さんの着こなしはとんがっているところもなく自然で知的でそしてかっこい。岡藤さんとはオーダーの際によく相談をしてお互いの頭の中でイメージを膨らませてサイジングをしていく。サイジングとはなかなか楽しい作業だ。私は当店で用意した現物のジャケットを「ゲージ」つまり「ものさし」として考えてサイジングしていく。これが一番顧客が分かりやすい方法だと考えている。私どものスーツを作っている縫製工場がサイズに対してとても厳密に正確に作ってくれるのでこの方法が有効だとも言える。メジャー一本でサイジングすることはすくなくともテーラーの頭の中ではどんな洋服になるかわかってもお客様にはわからない。それが現物ジャケットを「ゲージ」として使うとテーラー、顧客ともに一瞬にしてイメージ化されるというわけ。この道も奥深いとおもえるのは素材の厚みだけでなく柔らかさでサイジングが変わるという事。柔らかい服地だと小さめに作っても大丈夫、言い換えれば固い服地と柔らかい服地を同じサイズでつくると柔らかい服地のほうが大きく感じるというおもしろい現象も起こる。