アンコンジャケットとは「構造」を意味するコンストラクションに否定のアンがついている「日本英語」で表生地以外の構造材(裏地、芯素材、肩パット)を極力減らしたジャケットだという意味。イタリア語ではセンソインテルノ(内部が無い)と言う。 アンコンジャケットいちばんの特徴はカジュアル感。構造材がすくないため軽いしふわっとはおる感覚だ。テーラーだとシワの無い美しいシルエットが実現するようきっちり作るがアンコンジャケットはシャツのようにラフに作られている。カジュアルファッションメーカーと違いテーラーはついついきちっと仕立て上げてしまうのでいままでどちらかというと苦手アイテムだったかもしれない。

いまは限られたセレクトショップだけではくアウトレットやファストファッション店でも多くの種類の中から選んでアンコンジャケットを買うことができる。しかしタグをみると多くは中国やアジア諸国で作られたジャケットで毛芯を使っていないのは分るが接着芯で仕上げたなんとなく安っぽいものも数多く見かける。本来、良い素材のものを軽やかにしたてることでヒネリの効いた肩の力を抜いた着こなしをめざしているのに安っぽさが全面にでるとおしゃれな大人のアイテムとしてはどうかなと感じる人も増えて来た。それならばテーラーの腕のみせどころ。テーラーの立場でアンコンジャケットを考えてみたい。

テーラーが考えるアンコンジャケットその1 天然素材の中から選ぶ。
カジュアルメーカーが作るアンコンジャケットなら機能やみてくれを重視するため化学繊維の混紡などの選択肢もありえるがテーラーならウールをメインにリネン、シルクなど徹底的に天然素材の中から選ぶ。天然素材つまりオーガニックなので身体に優しくそこから醸し出される雰囲気は「良い素材」を着ている良識あるオトナという評価を見る人に与える。
テーラーが考えるアンコンジャケットその2 接着芯ではなく毛芯を使う。
アンコンジャケットとはいえ最小限の補強材は必要。それを接着芯でなく極薄の毛芯を縫い付けて使う。肩パットは使わないがうすいフェルト一枚をパットのかわりに使う。技術を要するがそれによって形崩れや接着ハガレなど劣化無しで長い期間ジャケットを愛用していただくことができる。
テーラーが考えるアンコンジャケットその3 過剰なディテールを排する。
よぶんなディテールをこだわったおしゃれだと勘違いしている方もいるがオーダーになれた熟練した男は普通に見える仕様のなかにかっこよさを見いだす。テーラーはさりげなさを作り上げるためこまかい仕事に精を出す。直近のピッティウオモでも過剰なディテールのジャケットを見る事は少なくなった。

2012年夏のためにこんなアンコンジャケットをつくりました。

  • エルメネジルドゼニア クールエフェクト ウール100% ロイヤルブルー無地 使用(190g/1m)
  • 接着芯ではなく極薄の毛芯使用。
  • 肩は雨降り袖ではなく普通袖(マニカマッピーナ)、肩パット無し
  • ボタンは水牛、肩と袖に使った裏地はキュプラ100%
  • 胸はバルカポケット、脇はパッチポケット、本切羽 

ゼニア クールエフェクトアンコンオーダージャケット価格SPECIAL PRICE 55000円(税込
DSCN6524
アンコンとは思えない美しいライン 涼しい素材ですので猛暑の中でも快適です。
DSCN6527
なかにはスマートフォン用ポケットも装備。

ジャケットスタイル、スーツスタイルを兼用できるセットアップ用スーツとしてもオーダーいただけます。オーダースーツ価格76000円(税込)同じ生地ではなくパンツも下記のライトグレーピンヘッドを選んでいただくことも同価格で可能です。
DSCN6531
エルメネジルドゼニア クールエフェクト ライトグレー ピンヘッド  こちらでスーツもオーダー承ります。

DSCN6532

エルメネジルドゼニア日本法人から正規入荷した素材の証「赤タグ」