外は気温摂氏35度で湿気の多い名古屋ではまるでサウナのようだ。でも昨年秋、友人のスギノが省エネ型のエアコンを奨めてくれたおかげで店内は涼しく、この季節になるとさすがにお客様も少ないので今日は美術館のカタログを見て過ごした。

ヨーロッパを旅して一番の楽しみは買い物でも美食でもなく美術館に行く事だということは前にも書いた。イタリアには西洋諸国の王や首脳、金持ちが血眼になって収集したイタリア絵画があたりまえだがほんとうに山ほどある。こんな名画はいまや当地の美術館以外誰も所有などできない。でもそういうエレガントな絵画がその地に行けばほんの少しの入場料で見る事ができるということはじつは幸せな事だしそんな絵画の素晴らしさを理解できること自体なににも換える事が出来ないエレガントなことだと思っている。

先月のミラノフィレンツェ出張も3日半というタイトな日程だったがすこしだけ空いた時間を見つけてウフィツイ美術館に
行きまた新たな発見もあった。 ウフィッツイはそんな大きいわけではないがその収蔵絵画のすばらしさでは世界一の美術館のひとつである事だけはまちがいない。

初めてイタリアに行ったときはミケランジェロ、ダビンチ、ボティッチェッリくらいしか知らなかった。初めてイタリアに訪れた旅で行った美術館はフレンツェウフィツイ美術館とローマ、バチカン美術館それにヴェネツイア アカデミア博物館。大量の西洋絵画を前にそれを誰が描いたのか、何を描いているのか、どう描いたかまったく違いが分からなかった。目の前には絵の群れがあるだけ、そんな状態だった。それからイタリア出張を重ね、空いた時間に美術館通いを続けているとラファエッロ、カラバッジョ、フラアンジェリコ、フィリッポリッピ、など知っている画家も増えて来た。イタリア通いも18年になるので行ったことのある美術館も増えだいぶ審美眼も身についてきた。

美術館に行くと帰りに美術館のカタログを買う。だいたいが重い本なので旅の途中には難儀だがフランスのルーブルなどは写真を撮るのが自由だがほとんどの美術館は写真は禁止となっているのであとで思い出したいときはそのカタログを見る。その時は気付かなかった名作が載っている事もある。名画の思い出を自宅で反芻するのはとても楽しい。

旅先でたまたま美術展に遭遇することもある。 そんなときもなるべくカタログは買うようにしている。しもちゃんとすぎはらと韓国に行ったときはルネマグリット展に巡り会ったしフィレンツェストロッツイ宮殿のブロンジーノ展はすばらしくそのカタログは僕の宝物。
DSCN8552
夏の一日こんなカタログをめくっているとヨーロッパの思い出がよみがえる。