今朝は9時から中津川の古いお客様の家に服地を持って訪問した。今はオーダーサロンタナカにいらっしゃるお客様のご来店を迎えるためほとんどお客様の家に訪問する事はなく店で接客しているが二十代、三十代の頃は、家で待っていてはオーダーは取れないとしょっちゅうお客様のお宅まで出張したものだった。名古屋市近郊はもとより、岐阜、静岡、遠くは盛岡、仙台や札幌まで服地をかついで出かけた事もあった。若い頃は売れなかったらどうしようとか服が気に入られなかったらどうしようとかずっと不安な気持ちを抱えての出張だったが今日はドライブがてらの気楽な気分。でも久しぶりのお宅訪問だったのでそんな若い頃の苦労をを思い出してしまった。もう25年以上前からのお客様だがたぶん90近い歳にもかかわらず頑健な体格はあいかわらずでそんな姿を拝む事が出来てうれしかった。
服地を決めていただいてお客様のお宅をおいとましたあとは、中津川のくるまやでそばをすする。高校生の頃すなわち40年位前の思い出だが金城のこまっしゃくれた女子高校生が「そばはくるまやだわ。」とのたまったのを強く覚えている。その女子高校生はたまたま裕福な親に木曽福島か中津川のくるまやに連れて行ってもらった事の知識をひけらかしたに違いないが、ぼくらはといえば1970年代でまだまだ当時はたいして旨いものも喰ったこともなく、蕎麦に味の違いがあることもわかるわけもなく、彼女が住んでいる世界がぼくとは違ったような気がした。ずっと蕎麦はもりと決めていたが50才を越えてからなんだか温かいかけそばの味が好きになって来た。だから今日は掛けを一杯ともりを一枚いただいた。
中津川くるまやさんの店内
もりそば