「元気でいるか 街には慣れたか 友達できたか 寂しかないか お金はあるか 今度いつ帰る？」
日頃テンションコードが効いた小粋なポップスばかり聞いているが関東に住む一人息子のことを思うとさだまさしのストレートなフォークソング「案山子」のベタな歌詞が心にしみてくる。深夜までの残業でがんばっている息子からはそんな余裕は無いのか実家に電話もメールもないが、便りがないのが元気な証拠と強がってはみたものの親としては寂しさは隠せない。昨日の夜、夕食でフラガ神父さんのレシピにしたがったスパニッシュオムレツをこしらえバーゲンで買ったプーリアの赤ワインを少々頂き酔った勢いで息子に電話してみた。いつもは留守番電話の無機的な声が聞こえるだけだが昨日はどういうわけか息子が出て、声を聞く事が出来た。電話はするが用件だけを聞くとすぐ切ってしまうのが常だが昨日は寒くなったからコートが欲しくないかと聞いたあと先週ひとりで出かけた初めての海外出張のこと、欲しいクルマのこと、プロ野球のことなど30分くらいだろうか話をすることができた。今は会社の寮に住んでいるのでいくら親バカとはいってもそこまで見に行くわけも無くどんな街のどんな部屋で暮らしているのか知らないが電話の向こうから懐かしい声は忙しく日々で疲れた心には優しく響いた。
昨日の店では親子での来店のお客様が何組かあった。その中のひとりは同じ高校だった友人の甥っ子さんで友人宅に毎年年始に伺うたびに会う事があり生まれたころから知っている。その子いやその方はいまは医師となり結婚し関西の大病院で働いている。人の子の成長は早いと言うが赤ちゃんの頃から知っている子が医師となりお母様のプレゼントでコートを仕立てにくるというのはやはり感慨ひとしおだ。人のお子さんの立派な姿を見ていると我が子もなんとか世の中のために、そして人間としての楽しみを感じて生きて行ってほしいものだと思う。
テレビで見た番組で九州に住むフラガ神父が作っていたレシピにしたがったスパニッシュオムレツ。２度目だったから完璧にできて家族の評判も良かった。
