最初はどうなることかと本当にドキドキした。お客様を集めての柴山登光先生のトークライブ。セレクトショップさんがイベントとして開催したのならプレス担当や企画会社がセッティングしてくれるのだろうが、なにしろオーダーサロンタナカは夫婦二人の店、イベントも企画から、集客、設営にいたるまですべて自分でやる。これが苦労でもあるし楽しみでもあることはいうまでもない。
開始時間になるまえに参加予約された20名のお客様すべてご来店で店内いっぱいとなった。柴山先生がお客様の前に登場、店主の私が
ミケランジェロ賞3度受賞の日本最高のモデリスタとしてとして先生を紹介。そして先生のトークライブの前座としてことしのピッティインマージネウォモ86の報告を行った。ピッティ会場で撮った写真をマックのアプリ、keynoteでまとめる作業は4日前から始めたが案外楽しめた。それをなるべく楽しめるように説明したつもり。みなさんはどう思われただろう?


今回作成したピッティ報告プレゼン資料

そしてメインコンテンツである柴山先生のトークライブ。縫製工場や、テーラーに技術を解説するのはお手の物だがいかに先生と言えど消費者に直接語るということはあまり経験の無い事だったと思う。そんななか洋服好きのお客様にむけて興味のありそうな話題を選んでいただいた。まず最初に取り上げたのは、ヨーロッパにおいてどんな経緯でいまのスーツになっていったのかという洋服の歴史。ヨーロッパをはじめとしてアメリカ、イタリア、日本が独自のスーツ文化を形成していったこと。そして21世紀に入りクラシコイタリアやスリム化、サイジングが重要視されるようになってきたことなどを10年前、5年前、今の写真を比較しながら分りやすく説明していただいた。そしてモデリスタとしてCADにより洋服のパターンの精度があがったこと。アームホールの設計について、馬の毛を使った本バス芯の優位性、先生が自ら編み出し実用新案登録もなされている「パンツのクセ取り」などすこし専門的な部分かと心配したが、参加されたみなさんは思った以上に興味津々で聞いていただいた。洋服は工場でさっと作っているように思われているが作り手がどんな意図でどんな苦労で作っているかを分っていただいた気がした。2時間のトークライブは長いかと心配したが時間があっという間に流れたように感じたのはまちがいなく先生の力量だった。
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柴山登光先生の話を興味深く聞くお客様
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先生とお客様で記念写真。みなさまさすがダンディです。