あの日のことはずっと忘れられない。暖房の効いた当店のなかの大きい机の前に座ってお茶をすすっていた時、その机がゆっくりゆっくり揺れた。震源の東北から名古屋まで揺れが届いた瞬間。その一月前、友人のノダ、スギハラ、シモちゃんと仙台を訪れたばかりだった仙台の平野を襲った津波のヘリコプターからの映像に言葉を失った。それからしばらく悲惨なニュースの連続にヒザを抱え、顔を覆う日がつづいた。東北の人たちがこんなに悲惨な状況になりながら、名古屋のわたしはまったくなにも不自由がない生活をおくれている。申し訳ない気持ちでいっぱいでこのまま洋服屋をのうのうとやっていてもいいのだろうかともおもった。その事をロロピアーナのスタッフと真顔で話したのも覚えている。だから四年目になる昨日もその日の事を思い出すと平静ではいられなかった。ざわついた気分を鎮めなにか清める意味で妻と鈴鹿の椿大神社に出かけた。その参道で見た言葉はというと厳しいものだった。「強い信仰を持ち一瞬も休まず働こう。」一瞬も休まずか、それはつらい、つらすぎる。でも人間の心臓は一瞬でも休めば人間の個体は終わりを迎える。やはりそうなんだ。休んじゃダメなんだとその厳しい言葉に目が覚めた思いだった。

そんなことばに気がつかされました。今年も震災支援のため、オーダーサロンタナカは微力でございますがお役に立ちたいと思います。震災前に仙台の居酒屋で石巻で穫れた海産物をたらふく食いました。ほんとうに美味しくお値段もリーズナブルだったのをよくおぼえています。震災の日うずまく水で石巻が沈んで行くのを見ました。神戸の震災のときは四年経つともうすっかりきれいになったのと比べ、石巻の町は復興が進んでないのをテレビで見ます。すこしでも早く復興していただくため少ないですが本日石巻市に寄付金としてオーダーサロンタナカが50万円、田中宏明仁美個人でで50万円、合計100万円お送りいたしました。地震と津波ですべてをうしなった人と比べるとまったく僅かなお金ですが少しでもお役に立てればと思って。
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一瞬も休まず働けと告げられました。
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椿大神社内の聖地、御舟石坐(おふないしいわくら)。
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椿大神社参道