木曜の午後三時頃だったかケイゾーさんがご来店された。ケイゾーさんは名古屋のエンターテイメント界のVIP。若い頃からおしゃれに極めて見識が高く二十年来のお客さんという以上にファッションの大先輩で本当に多くを教えていただいている。そのケイゾーさんがこれ田中の店に飾るときっと似合うぞとおしゃって小さな包みを持って来てくれた。開けてみれば陶器でできた古いミシン。尊敬する方からいただいた贈り物にびっくりしながら、こころの片隅に当店の事を思ってくれた事に目頭が熱くなった。
ときどき私のブログにコメントいただけるSTさんは大学時代の恩師である。名前はあえて伏せるが日本を代表する名優の弟様でその方とそっくりの温かい目で卒業して35年以上もたつ教え子のことを気にかけていただいている。ときどきいただけるひとつひとつのコメントが私への贈り物だと考えて、うれしく読ませていただきながらなおいっそう仕事にはげまなければと読みながら思う。このたびST先生の恩師である宗武志先生の評伝が出て昨晩読ませていただいた。ST先生もこの本の完成に尽力されたと聞いている。私も宗武志先生の英語の授業を受けていた事があるがそのときは宗先生のひととなりも英語の優雅さなどその授業の価値を実は全く判っていなかった。歴史の荒波に翻弄されながら高い人格の人間を育てる事に一生をついやした宗武志先生のことをこのたびあらためて知った。慈眼とでもいうのか教え子を育てる柔らかな温かきまなざしの年月を越えたつながりを思う夜だった。