制限、規制、規則、ルール、規範。そんなものから自由になりたいと思う。でも人は他者と共に生きるためにそんな制限の中で楽しく生きることを覚えていく。スポーツもまさにそうで規則のない競技など考えられず規則のなかでプレイするのがスポーツの本質である。

ドレスコードつまり服についての規則がパーティや冠婚葬祭などは発生する。招待状にきちっと書いてある場合は便利だが、書いてないこともある。今年はイタリア大使館でのパーティにくしくも2度招待いただいた。一度目はピアチェンツァ社でBUSINESS CASUALと招待状に記され、二度目はビターレ・バルベリス・カノニコ社でLOUNGE SUITSと小さく記されていた。BUSINESS CASUALは読んで字の如しだったのでピアチェンツァ社のパーティはミディアムダークグレーのムリネー糸織られたウィンドペンのシングルブレストを選んで着た。CASUALとあったのでセットアップスーツにしてみた。カノニコのパーティのLOUNGE SUITSとはとグーグルで調べるとどうやらダークスーツとほとんど同意らしい。3ピースやダブルブレストがベターだという記述もあった。考えるとビジネススーツならミディアムグレーも有りだがラウンジスーツはダークスーツに限定されそしてどちらかというときちっとしたスーツの方がいいだろうと想像した。
そこで選んだのはチャコールグレーのスーパ−150ウーステッドで仕立てたダブルブレストスーツに白とブルーのロンドンストライプシャツ、それにセンタークレストの入ったセッテピエゲタイ、胸にはポケットチーフを挿し、華奢なドレスウォッチを付けて大使館に臨む。

同行した取引先の方もよく似たスタイルだったのでまず間違いはないだろうと確信してはいたが門でセキュリティチェックを受けたあと入館したらダークスーツの参加者が多くいらっしゃったので安心した。昨日書いた三人のマエストロ、フランコ・プリンツィヴァリ氏はスリーピース・スーツ、アントニオ・リヴェラーノ氏もスリーピース・スーツ、アントニオ・パニコ氏はツーピーススーツ、カノニコの当主アレッサンドロ・バルベリスはダブルブレストスーツでまさにラウンジスーツの王道。(昨日のブログに写真があります。)

ただドレスコードといってもユニフォームとは違うのでおのおの微妙な違いがある。同じようにも見えるラウンジスーツだがスーツの素材、ディテール、コーデ、少しずつみんな違う。そこが愉しみで、ああこの方はこの色のネクタイだったのか。あっ、ちょっとヌイてウールタイで来たかとか考えると面白いもの。実はメンズスーツはそんなすこしの差異を最大限に楽しむものだといえる。帰りがけに同じチャコールのダブルブレストを着ている方がいらっしゃったので一緒にお写真を撮らせていただいた。ほんとうに似ているねーと三人で笑い合う愉快な夜の宴でした。
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私以外は黒部和夫さんをはじめ業界の有名人。光栄にもみんなチャコールグレーのダブルブレスト。ちょっとずつの違いが楽しいでしょう。

ついでに一つ。こういうパーティには、まれにわざと逸脱して、デニムを来たり、スーツにスニーカーをあわせる方がいらっしゃる。そういう人が案外クールでおしゃれに見えたりすることもある。でもドレスコードが決まっている場合はそれはまちがいなく禁じ手。とはいえジェントルマンならそういう方にことさら指摘したり、面と向かって非難することは決してしてはならない。その方も重要な参加者のひとりですから。ただ冷ややかな一瞥だけで十分です。