列車がナポリ中央駅に近ずくとちょっと緊張する。今は近代的でキレイになったナポリ中央駅だが
やはりその感情は変わらない。ナポリ野郎がたむろするタクシー乗り場から正規タクシーに乗ってもその運転の荒さには何度来ても慣れない。そしてトレド通り近くの定宿に行くのも30ユーロから12ユーロまで
料金がいつも違うがいちいち腹を立ててもつまらない。この魅力的なナポリの街の入場料のようなものだと考えている。タクシーの中から見える風景はイタリアの街だがフランスやスペインに占領された時期があるからかどこか異国情緒も感じ、海の匂いも感じ、ほかのイタリアの街とは違うということが明らかに分かる。

トレド通りフニコラーレ駅前
ホテル近くムニチピオ広場
ホテルに入りチェックインをすればWi-Fiが勝手につながるのが定宿の良さ。所用を済ませ、カラブリットからキアイア地区まで散歩。何度もきたナポリだがこの美しき場所を歩くと高揚感が満ちてくる。治安が良くないと言われるナポリだがこのあたり漂う幸福は一体なんだろうと思う。




クルマが入れない歩道となっているキアイア地区は幸せな雰囲気が漂う場所

また来れてよかったと思っていると二日前亡くなったデヴィッドボウイのスターマンが街角のラジオから聴こえてきた。デヴィッドボウイは間違いなく我がヒーローだった。ビートルズのポップスの系統でボブディランの詩の深みもありクリエイティブでそして何より頭抜けたカッコ良さ。
急に高校の頃覚えたスペースオディッティの最後の部分
の歌詞が頭に蘇ってくる。間違いはあるとは思うがあえてネットで調べずに思い出すまま書いてみる。

From ground control to major Tom,the circuit is dead, something wrong.Can you hear me major tom.Can you hear me major tom,Can you hear me major tom,Can you hear,
And I sitting in a tin can. far above the moon,Planet earth is blue,and nothing I can do.
この歌をキアイアの雑踏の中を口ずさんで歩くと哀しみがこみ上げてくる。彼の魂は遠い宇宙に向かって帰らぬ旅をいま続けているはずだ。
キアイアの入り口とプレビシート広場にはさまれた絶好の場所のエレガントなカフェ、ガンブリヌス、ここでイタリアには珍しく無料で出てくる水とエスプレッソで喉を潤しながら誇り高きバリスタの仕事ぶりを見るのもナポリの楽しみ。
名門カフェ、ガンブリヌスのバリスタ
街で聞こえるナポリの会話のテンポは他の街とは違う。少し話すと帰ってくるイタリア語は強くそして早い。プレビシート広場に立つとナポリの混沌がこの巨大な円形の中で浄化される気がするのは私だけか。
美しきプレビシート広場
夕方トレド通りで熱狂的な群衆が旗を激しく振るデモに出くわす。参加者は普通の男女なんだが野太いシュプレヒコールとそして爆竹の音がテロのことを頭によぎり怖くなるが、時々美しく着飾った軍人を見かけるところを見ると政治的な主張ではなく案外お祭りのようなものかもしれない。
トレド通りでデモに出くわす。

街歩きにあとはホテルで勧められたトラットリアで他のイタリアの街ではほとんど食べることのない魚料理をいただく。タコは産地によって違う食材。歯応えがあり味の深いナポリ産タコのグリルをマッシュポテトといただくのがナポリ風らしい。マグロのパスタも秀逸で白ワインがすすみました。
タコのグリルとポテト
マグロのパスタ