その1からの続きです。タオルミーナのホテルではどうやら一週間単位でゆっくり時間を過ごすらしく、シニアエイジのヨーロッパの人々がプールサイドや散策やらのんびり滞在していました。そんな暮らしを我々もいつかはできるのだろうかと思いながら、一泊だけ滞在の我々はこの素晴らしい場所での極めて限られた時間を惜しみました。一泊後、家族経営のトラットリアで昼食をとった後、タクシーで一時間半かけて次の目的地、アルキメデスでも有名なシラクーザに。
タオルミーナは山と海のはざまに張り付くような場所でしたがシラクーザは起伏がない海沿いの街。街の先端の手前にある川のような水路に橋がかかり、その先がオルティージャ島と言われています。クルマでその橋を渡り、海岸を少し走り、午後3時過ぎにその日の宿、ヘンリーズハウスにつきました。宿から歩いて数分のところにオルティージャ島の中心にある美しいバロック様式のドウオモ広場の一角にサンタルチア・バディア教会があります。イタリアの教会は長い時代をかけて様々な装飾を施してあり、彫刻、壁画、建築、祭壇など、何が重要で何が見るべきものなのか混乱することがありますが、ここの教会は極めてシンプルで教会の中の主祭壇に飾られているのがカラヴァッジョの「聖ルチアの埋葬」。わかりやすく言うとこの教会の御本尊がこのカラヴァッジョの絵となります。「聖ルチアの埋葬」当時の権力者に嫌われて目をえぐられ首を切られて埋葬される聖女ルチアとそれを悲しむ人々や墓掘り人の群像図です。けっこう悲惨な状況ですがやはりカラヴァッジョの手になるとその人々は今を生きる人々の悲しみにも見えてきます。現存するシチリア島の3作はすべて教会に納めるための大作であり、画家晩年の傑作であることは間違いありません。我々はカラヴァッジョ巡礼者ですから、この絵の前で閉館時間までじっくり佇みながら偉大な芸術と同じ空間にいる喜びを噛みしめました。
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 カラヴァッジョのあるサンタルチアバディア教会
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聖ルチアの埋葬は本尊ゆえ撮影禁止。
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ドウオモ広場とサンタルチアバディア教会
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雨の広場
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ドウオモのファサード
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オルティージャ島の海
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パピルスが茂るアレトウザの泉
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夕暮れの海
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ここで食事
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ムール貝のゴルゴンゾーラ味

この時期いつもシチリア島はほとんど雨が降りません。でも今年はときおり積乱雲のせいで雨が降り、おかげで気温も摂氏25°C以下と快適です。昼からの雨も夕方には上がり、シラクーザ、オルティージャ島の街も美しい姿を見せてくれました。仕事をしばし忘れる時間を海岸の街ですごしました。夕食はちょっとモダンなシチリア料理で。
シチリア最後の日は朝の散歩のあとこの日もカラヴァッジョを見てからカラヴァッジョが名付けたというわれるディオニュソスの耳と言われるかって牢獄だった石切場とギリシャ劇場に。石切場と遺跡が同じ場所にありサクッと観光できる。ピッティイマジネウォモでは仕事モードでテンションを高めていますが、観光地をのんびり散歩しているとやはり開放された気分にひたることができます。
シチリアの残されたわずかな時間はオルティージャ島のメルカートでの昼食。市場好きにとってはほんとに楽しい時間です。シシリアオレンジのしぼりたてジュースは一杯1ユーロ!大きな網に入ったムール貝がキロ1.5ユーロで売られています。アサリがキロ1000円以上するのに比べて安いのできっとこのあたりの名産なのでしょう。牡蠣は屋台で白ワインと共に売られています。旅の前は治安が悪いとか心配していましたが、シチリアはイタリアの田舎。陽光の中にほのぼのとした時間が流れていました。
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朝食はシーサイドで
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この橋でシラクーザ市とオルティージャ島を分ける
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石切場はディオニュソスの耳とカラヴァッジョが名付けた
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シラクーザのギリシャ劇場
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市場のトマト売り
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市場の魚売り
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市場で昼から一杯
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リゾート感たっぷりのオルティージャ島
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シチリアの光
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美しいオルティージャの海の色