多くのメーカーの見本帳、バンチサンプルをたくさん揃え選択肢を増やしたほうが良いと考えるテーラーも多いようです。そんななか当店は、ロロピアーナ社、エルメネジルド・ゼニア社、ヴィターレバルベリスカノニコ社、ドーメル社ドミンクス、御幸毛織など一流メーカーの正規代理店からスーツ、ジャケット素材を直接買い付け、素材現物を店頭に展示するのをメインととしております。(バンチの取扱も当然あります。)なぜ現物素材を揃えるのかを解説いたします。
1.バンチサンプルではイメージできにくい。
オーダーに慣れていない一般のお客様ではどうしても小さいバンチサンプルでは仕立て上がった洋服のイメージができないことが多いようです。
2.現物でこそわかること
バンチの中に並ぶ同じ素材のカラーバリエーションでも物性にブレがあることがあります。一例を申し上げますとネイビーはツヤがあるがミディアムグレーはツヤがほとんどないなど。こういうブレはバンチを見るだけではわかりにくいのです。
4.プロの目で選ぶ重要性
われわれは過去3万着のオーダーを経験しています。だからどういうメーカーのどういう素材が美しく仕上がるかを知っています。現物の買い付けも当然過去の験値が生かされています。オーダーが慣れていない一般的なお客様が多くの選択肢の中からその日のイメージで選ばれるとやはり仕上がり感が微妙な素材をお選びになるリスクも正直あります。
3.バンチは価格が高くなる。
特にイタリア、英国メーカーの場合、輸入コストは正直、一着に付き一万円以上はかかります。またメーカーの在庫コストも上乗せされます。シーズン前の買い付けの場合、インポートコストは数量がまとめてなのでぐっと割安になりますし、在庫コストはゼロとなります。価格は格段と違います。

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英国ヨークシャーから直輸入のドーメルアマデウス。
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手触りを確かめながら一着ずつカットしていく。