高級品とは何かを考えることがあります。高級品とはブランド物のことである、シンプルにそう考える人も多いでしょう。また高級品とは値段の高いものであると考える人もいます。数あるブランドでもエルメス、ボッテガ・ヴェネタ、ブルネロ・クチネリなどとびきりお値段の高いブランドに羨望の眼差しが集まるのもそのあかしかもしれません。しかし、洋服屋の私は洋服についての「高級」はイコール「ブランド」「値段」とは考えていません。では洋服にとっての高級とはなんでしょう。わたしは「トレーサビリティ」が「高級」の重要な要素と考えています。つまりどこで採れた原料を使いどういう意図で誰がどこでどうやって作られたか「出自」が明示されているものに「高級」の名前を冠するべき。たとえばロロピアーナウインタータスマニアン150を使い当店で仕立てたスーツは

オーストラリアで採れた16ミクロン平均のメリノウールを1mあたり340g使い、4ハーネスという織り方でイタリア、クアローナロロピアーナ本社工場で織り上げてあります。それを正規代理店を通して輸入。日本国内、九州にある三ツ星グレードの縫製工場で柴山登光先生が作成したパターンを使い、本バス毛芯を縫い付けて、ボタンは天然ボタン、裏地はキュプラ100%で仕立てられています。

このように言うことができます。
巷にはアジア製造、ウール100%というだけしか説明していないオーダースーツも溢れています。広大なアジアのどこで誰が、どんなウールで作られているかは謎。そんな風潮に背を向けて当店の行くべき道は説明できないブラックボックスの部分をひとつづつ減らしていくこと、それがモノから「高級品」への道だと信じています。こころざしのある製品をこれからも作り続けていきます。
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この秋、スペシャルプライスでとりあげたエルメネジルド・ゼニアエレクタ133で仕立てたスーツ。オーストラリア産エキストラファインウールタテ・ヨコ3プライにして、1mあたり370gで平織りにしてあります。三ツ星グレードの日本国内縫製工場で柴山登光先生が作成したパターンを使い、本バス毛芯を縫い付けて、ボタンは天然ボタン、裏地はキュプラ100%で仕立てられています。サイジングは行き過ぎ感に気をつけなるべくマイルドにいたしました。
エルメネジルド・ゼニア エレクタ133ブラウンチェック オーダースーツ価格79000円(税込)