この秋はロロピアーナ・カシミアウィッシュでジャケットを仕立てましたが、ロロピアーナのペコラネラのグレンチェックがどうしても気になってしまい、それでもう一着ジャケットを誂えました。洋服屋の私がジャケットを誂えるとき、サイジング、ディテールで実験的な部分があります。わたしはパーツが目立ちすぎる派手なディテールは好みではありません。おだやかな中にだけ優雅さがにじむと考えています。このところはラペル巾(下エリのことをラペルといいます。)は9cmにしていましたが今回はラペル巾を9.5cmにしてみました。さて0.5cmラペルが太くなってどう変わったでしょうか。ちょっとエレガントな雰囲気が増したでしょうか。それとも男らしさが増したのでしょうか。またビスポーク感が強くなったでしょうか。それを確かめるのもオーダーの楽しみ。

よく雑誌等で今年はラペル何センチとか書いてある記事を散見します。でもラペル巾は個人個人、体のバランスによって一番美しく一番調和の取れた数値があると考えています。それを見つけることができるのもオーダーメイドの特権。お客様もオーダーの際にちょっとずつディテール、サイジングに変化をつけても面白いと思います。

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ペコラネラグレンチェックで仕立てたジャケット、ネクタイはステファノビジのウールタイ。