わたしはテーラー、お客様の依頼で洋服を作るのが主な仕事。お客様が着るスーツを創造するためファッションのプロの一員として自分自身のおしゃれのスキルを磨く必要があるとつねに思っています。毎年ピッティイマジネウォモに行くのも、ヨーロッパの美術館などに行くのもそのスキル磨きのため。一般の方の場合、例えばエルメス、ルイヴィトンのようなラグジュアリーブランドのバックなどを買い、その世界観をじぶんのおしゃれに取り入れるのもおしゃれになるいい方法だと思います。しかし我々はまがりなりにプロで世界観を生み出す側です。我々自身の着こなしの中にラグジュアリーブランドの完成された世界観を借りるわけには行きません。混沌とした世界の中で我々自身のおしゃれを見出さねばと考えています。
おしゃれのスキルのヒントはファッションモールだけにあるわけでなく、歴史的建造物や美術の中にあったりします。今週東京の銀座を散歩しました。やはり銀座は日本ではファッションブランドが出店する場所で銀座〇〇というブランドを強化する魔法の名前にもなっています。セレクトショップを覗いても同じ店の名古屋支店には並んでいないものもあり、銀座店には力を入れているのがわかります。このあたりで店に入ったり、ショーウインドウを眺めたり、勉強になることも多々あります。キャノンショールームのウインドウを見ていたら不思議な女性の木彫りの人形が僕を見ていました。これはすべての飯沼秀樹さんんの作品で見ていてとっても楽しい。人形が着ている服がほんとに凝っていてファッションに興味あるひとだなと思っていたら飯沼秀樹さんに偶然にもお会いして話を聞くこともできました。
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この人が僕を見ていました。
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着てる服も素敵です。
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ちょっとルネッサンス
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作者の飯沼さん
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逆立ちしてます。
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なに覗いているんだろ。

おしゃれであることと身だしなみ。
今日お客様とお話していて、ぼくは「おしゃれ派」というより「身だしなみ派」かなとおっしゃられていました。身だしなみ、とても深い言葉です。「酒を嗜む。」「芸事を嗜む」という用法の場合は、好んで愛好するという意味になりますし、「自分自身の気をつける」「前もって用意する」「慎み深くする」という意味もあるそうです。目立ちすぎる装いでなく清潔感のあるきこなしが「身だしなみ」のイメージではないでしょうか。「身だしなみ」はきっと本来の「おしゃれ」と案外近い気がします。

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