福沢桃介貞奴、豊田佐吉の邸宅もあり、名古屋では閑静な住宅街として知られる東区橦木町。しゅもくちょうと読み、橦木とはお寺の鐘を突く横棒の意味です。そこでマニュアル左ハンドルのフランス車専門店レマンさんを営んでいるご主人が自宅のお庭と路地で育てた葡萄をもってきてくれました。
早速いただくと、とても甘く自然な味わい。葡萄を育て、美味しい料理を作り、お仕事は自分の気に入ったものだけを選んで売る。葡萄はそんなご主人のエレガントな暮らしの味わいでした。
店内でご主人とお話をした際、例のビッグモーター問題もあり、修理業務について尋ねるとずっと修理は自分ではやらず上手な工場さんにお願いしてきたそう。大切なのは良いフォルムのクルマを選ぶセンスだとのこと。
それを聞いて一つ思いました。わたしは洋服屋ですが自分で服を縫うことはしません。当店の服は腕の良い縫製工場を作られていて、私はいっさい縫製には手を出しません。それを言うと特に業界のひとからは、なんだ縫えないのかと、自分で服を仕立てない洋服屋として「格下」に思われてきました。わたし自身は洋服屋としてもっとも重要なことは「いい服かそうでないか判別できる能力」「どれがおしゃれであるか判別できる能力」だと思っています。それを信じて45年洋服屋を続けることができました。ちょっとご主人のお話と似てるかも。