アムステルダム国立美術館に行った次の日、デン・ハーグのマウリッツハイス美術館に出かけました。朝ホテルからトラムに乗りアムステルダム中央駅まで。クレジットカードでスイカ(交通系カード)のように使うことができ、行き先もわかりやすく外国人にとっても便利な交通機関でした。アムステルダム中央駅からデン・ハーグまでは特急で45分ですがこれもクレジットカードを改札でピッとすればオッケー。オランダ中、合理主義が徹底していてほぼ100%キャシュレス社会です。

デン・ハーグの官庁街にあるマウリッツハイス美術館は、規模の小さい美術館ですが、ローマのボルゲーゼ美術館にも似たコンテンツの豊富な美術館として知られ、フェルメール、レンブラント、ヤン・ステーンなどの名品を持っています。特にフェルメールは「真珠の耳飾りの少女」があることで知られています。

マウリッツハイス美術館
ヤン・ステーン 牡蠣を食う女 なにか言いたそう。
ブリューゲルとルーベンスの共作、アダムとイブ 
アダムとイブはルーベンス、動物たちはブリューゲルが書いたそうです。

真珠の首飾りの少女を実際に見るとディテールを細密に描くことで知られるフェルメールにしてはソフトフォーカスに描かれていることがわかります。名画を西洋の美術館で直接見ると、いままで印刷で見たことある絵の印象が大きく変わることが多いものです。

細密に描くフェルメールにしてはソフトフォーカスですね。 真珠の首飾りの女
フェルメール デルフトの眺望 まさに細密画で写真に近づいています。
デルフトの眺望 左下になにげなく牛乳を注ぐ女が。
これはフェルメールぽくないですがフェルメール バロックですね。

レンブラントは西洋絵画の頂点の一人で、美術史としてはバロック美術に属します。初期に描かれた威厳のあるマウリッツハイス美術館にあるティルプ博士の解剖学講義、そしてもちろんアムステルダム国立美術館にある夜警はバロック絵画ですが、レンブラント爛熟期の絵画は受けた印象を荒いタッチで作品に投影した絵画はまるで「印象派」じゃね?と思うほど変わってきます。天才レンブラントは物事をリアルに描くことに限界を感じたのかもしれません。

ティルプ博士の解剖学講義 レンブラント 光の使い方など正統派バロック美術
心の中を描いたようです。レンブラントは印象派かな?
レンブラント これも印象派の雰囲気ありません?

充実したマウリッツハイス美術館をあとにしてデン・ハーグ市内を散歩、折からの雨はやみましたが、この時期猛暑の日本とは大違いで気温は17度で肌寒く、妻はデン・ハーグ市内のユニクロさんでダウンベストを買いました。アムステルダムにすぐ帰るのも惜しいので市立美術館に足を伸ばすことにしました。

デン・ハーグ中心部からはバスに乗って住宅街にあるデン・ハーグ市立美術館に向かいました。平日の午後、街も美術館も静かです。抽象画の始祖の一人であるモンドリアンはオランダ人。モンドリアンのコレクションが一番たくさん持っているのがこのデン・ハーグ市立美術館だと。

初期のモンドリアンは印象派的でのちにキュビズムに影響を受けたと言われています。モンドリアンといえば黒い直線に囲まれた3色の絵でデザイン的にかっこいい絵なので多くの人がが知っています。デン・ハーグ市立美術館にはまだあの抽象画になる前のモンドリアンも多く展示してありました。

絵の上手い人は多くいるのですがそこから突き抜けて自分の世界を確立すれば偉大なアーティストになります。どうやってモンドリアンは誰も描いたことのない、手本がどこにもない世界観に到達したのでしょうか。苦悩の日々を重ね、モンドリアンはモンドリアンになり、その世界を構築したのです。その世界観の転回のすごさに驚嘆するしかありませんでした。

初期のモンドリアン

モンドリアンになる前のモンドリアンでは有名な作品。そろそろ抽象画になりそうな気配です。
ゴッホとピカソが混じっています。
風車を再構成しています。
クリムト入っていませんか?

抽象画の始祖になったモンドリアン

ちょっとキュビズムっぽいモンドリアン
モンドリアンの誕生です。
モンドリアンってかっこいいですね。
これもモンドリアンワールド
もう抽象画自由自在
しっくな色合いのモンドリアン
これはこの美術館にあるモンドリアンでも名作です。
かっこいいですね。
21世紀を予見しています。