洋服の着こなしはモードの世界だから流行があるが、クラシックスタイルは変わらないと信じられている。しかし気がつくとそれすらも変わってしまう事もたくさんある。パラダイムシフトとはちょっと大げさかもしれないが、35年オーダーメイドの仕事にかかわった中でクラシックスタイルのコーデとか着こなしのカテゴリーで最近変わったなあと気づいた事を書いてみる。

1.スエード靴は秋冬物から一年中に
以前は表面が毛羽立ったどこか暖かさを感じるスエード靴は主に秋冬のアイテムだった。今ではやはりその表面感がアクセントになるからか四季を問わずに夏にも使われるようになった。 軽やかなモカシン系はむしろスエードのほうが多いかもしれない。さすがにチャッカブーツについてはいまだ秋冬ですが。
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こんなスエード靴コーデを今夏のピッティウォモで沢山見ました。

2.リネンは春夏物だけじゃなく
麻つまりリネンは春夏を粋に彩る素材と決まっていたが、そのナチュラルな素材感はウールにミックスすると表面感に変化が出てくる。だから最近は秋冬素材に見かけるようになって来た。
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ロロピアーナ今年の秋冬コレクションのリネン混。表面感に変化を加えるために。

3.ジェントルマンはホーズを履くと相場が決まっていたが
長い靴下であるホーズはクラシックスタイルの足下のシンボル的存在であり必須アイテムだった。それがパンツのラインがどんどん細くなるとホーズを履くとパンツがずりあがってくるようにもなった。だから秋冬でもホーズを履かなくなった。というより履けなくなったというほうが正しいかもしれない。また夏はピッティイマジネウォモでも来場するバイヤーほとんどがフィレンツェの暑さを避けるため5、6年前らかスーツ姿でもほとんどインヴィジブルソックスである。やってみると分るがやはり足からの放熱でかなり涼しく感じる。
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こんなジェントルマンでもインヴィジブルソックスです。今夏ピッティウォモ

4.結婚披露宴はフォーマルウェアからダークスーツに 
わたしが洋服屋をはじめた35年前は披露宴に参列するためにタキシードのオーダーをよくいただいた。しかし着こなしのカジュアル化がどんどんすすんで、いまやダークスーツならぜんぜん大丈夫ということになってきた。披露宴会場もホテルや専門会場でなくおしゃれなレストランでのウェディングも増えて来た。そんなときにはちょっとツヤ感のあるダークスーツが映えると感じる。フォーマルウェアで来ると、おしゃれなスーツをもっていないんだなと思われる事すらある。 

5.ジャケットの丈、パンツの丈同様ジレの丈も短く(7/12追加)
今はジレと言われるようになったベスト、ちなみに英国ではウェストコートと呼ぶ。
ジャケットの丈が短めになり、パンツも九分丈もあたりまえになった。そういう流れに従ってきたのか以前はバックルが隠れるくらいがジレのちょうどいい長さと言われていたが、いまはそれでは長過ぎる。ベルトにほんのすこしかぶるらいの長さがいいと言われるようになって来た。
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ちょうどいい長さのジレ。ジレがベルトにややかぶるくらいで良い。当然バックルは見える。