今日から12月。いつも月初めは母と自由が丘近くの当家墓地に墓参に行くが今日は母が静岡の実家に里帰りしているためひとりぼっちで出かけた。ぽつんとご先祖の前で前月を反省し新しい月に向かうのも悪くないのはすがすがしい朝だから。おついたちだからロロ・ピアーナのウインタータスマニアン150で仕立てたロイヤルブルーのダブルブレストスーツにジェノバのフィノッロで買ったストライプのタイ、マンニーナでビスポークしたダブルモンク靴でパリっと店に出ることにする。
2日前、離れた土地で勤めている息子が帰ってきて、前に貸したギターを返してくれた。大学の頃ともだちとバンドをするかもしれないと言って貸したのだが実際は使ったのかどうかわからない。どうだったのだろう。とにかくぼくも忘れていたので久しぶりのギターとの対面にうれしかった。だいぶサビもきていたのでボディをオレンジオイルで磨き、アーニーボールの弦を張る。アンプにつなぐとガリガリ音がしたが接点復活スプレーでノイズは消えた。この派手なロイヤルブルーのテレキャスタータイプのギターは20年前に、友人のキタに楽器店で出物の中古ギターがあるぞと聞いて買ったもので、ESP社ロン・ウッドモデルというなかなか素性のいいもの。ずっと前、友人のスギウラの家にスパイダースの井上堯之さんが遊びに来るというんで、すわ急げとばかりにギターとキーボードを持って駆けつけたという珍しい経験がある。その時このギターをサブとして持っていったのだが井上さんはこのギターを気に入り一晩中弾いていた。懐かしい太陽にほえろ!のイントロもこのギターで演奏してくれた。そんな思い出のギターで弾いていい音がしていまさらバンドを組むわけじゃなし独り自室のソファで楽しい時間を過ごすことができる。ちょっと歪ませた音で先週横浜で聞いたエルトン・ジョンの「あばずれ様のお帰りだ」のイントロをを弾いたりして。